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元経済ヤクザが指摘「株式相場の支配者・AIの弱点」

「時間」こそヒトが「神」を倒す鍵
猫組長(菅原潮) プロフィール

だが、現在のAIは、長大な時間の先にある「未来」をイメージすることはできない。

どれほど計算を尽くして長期の未来予測を科学的に導き出しても、「当たるも八卦当たらぬも八卦」の余地は常に残る。最新鋭のスーパーコンピューターを駆使した台風の進路でさえ「予測」であり、「想定外」は常在する。予知、預言、神託、占いの類にいたるまで「未来予測」という行為自体が科学的手法からすれば「非合理的」な行為なのだ。

だが、科学的非合理性は、ヒトにとっての「非合理性」とイコールにはならない。

浄水場だった土地に誰かが「いつか高層ビル群を建てよう」と考えなければ、新宿の高層ビル群は存在しなかったはずだ。できあがった高層ビル群は都市そのものを発展させ、都庁を呼び込む土台となった。ミリ秒で合理的最適解を導き出すAIに、「高層ビル群を建てる」という「非合理的解」を導き出すことは不可能だ。

今日の投資行動の中でAIが「デイ」どころか「ミリ秒」のトレードで猛威を奮うのは、このためだ。逆に言えば、「ミリ秒」のはるか外側の「時間軸」にAIは生息することができない。

投資の場面に当てはめれば、AIはミリ秒で「合理的最適解」を生み出し、ミリ秒で取引を行うHFTとセットになった時に「獰猛な捕食者」となる。だが、それよりはるかに長い中長期という時間軸の「投資」に生息することはできないということだ。

ヒトがAIに勝つには、「浄水場にビルを建てる」的な「非合理的」発想を株投資の場面で生み出すしかないということだ。周君はAI開発に熱中するあまり、その思考まで「AI的」になってしまったということだろう。

 

「非合理性」を充満させることこそ、感性を磨くこと

執筆やTwitterなどによって、最近では特に若年層から、株投資を教えてほしいと求められることが増えた。仮想通貨で「億」を儲けたほんの一握りの成功譚が、「投資は簡単に儲けられる」というイメージを生み出していることが原因だ。

そうした人たちに私は、部屋に花を飾るところから始めることを薦めている。自分の部屋に合った花を買うことから始まって、どう花を生けるか、どこに花を置くか、次の花に何を選ぶのかなど、「部屋に花を飾る」という行為の中には「非合理性」が充満している。

継続的に「非合理性」を充満させることこそ、「感性を磨く」ことに他ならない。「非合理的発想」を日常から生み出す源泉は、実はこうしたことにしかないのだ。

素直に花を飾り続ける者がよい投資家になり、私の助言の深意をくみ取らず行動に移さない者が多くの損失を生み出していることは言うまでもない。