# AI # 投資 # 金融

元経済ヤクザが指摘「株式相場の支配者・AIの弱点」

「時間」こそヒトが「神」を倒す鍵
猫組長(菅原潮) プロフィール

「美味しいご飯の炊き方」でわかる、AIアルゴリズムと人間の「歴史」

このシナリオに沿えば、アメリカ株と連動する日本株も秋までは堅調ということが導き出せるだろう。

投資家にとっては「美味しい」季節がやってくるのだが、現在の株式市場でAI(人工知能)アルゴリズムとHFT(高頻度取引)を装備した「捕食者」によって、個人投資家が「養分」となっていることは、『元経済ヤクザが解説「株式投資無法地帯」』(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68807)で書いたとおりだ。

「捕食者」から逃れる術は、「捕食者」の存在しない場所に移ることしかない。そこで今回は、AIの特性から「捕食者」のいない安全域を明らかにしたいと思う。

ヒントになったのが、私のAI開発を行ったエンジニアだ。

現在私は、自身の投資顧問会社「NEKO PARTNERS INC」でCEOを務めている。投資機関に匹敵するオリジナルのAIアルゴリズムも開発したが、担当したのは中国人エンジニアの周君だ。

周君は日本の国立大学に留学し、北京大学コンピューター科学技術研究所で気象予測の数値解析を学んだスペシャリストである。その後、大手IT企業に就職したのだが、会社のコンピューターシステムを私的に利用して解雇された経歴を持つ。

第二次世界大戦末期のアメリカによる原爆開発計画「マンハッタン計画」においては、科学者によって思わぬ副産物が生まれることとなった。

高性能コンピューターがない時代にあっては、紙とペンによる莫大な量の計算と実験によってでしか「核爆発」の実現は不可能だった。「虐殺者であるナチスを焼き払う」ことを名目に世界中から優秀な人材がアメリカに集結したが、ストレスの溜まった研究者は「核爆発」とは違った方向に思考を進めた。

その一つが「13枚の金貨」という問題だ。13枚のうちに1枚だけ重さの違う偽金貨があり、最低何回天秤を使えば割り出せるのかという問題だ。研究者たちは計算式によって「3回」という解答を導き出した。ばかりか「13枚が100枚なら」「偽金貨が2枚なら」と難易度を上げていったのだ。

しかし、「マンハッタン計画」が遅延するほど「金貨」に熱中したことから、それには中止命令が出されたという。実はこれが今日の情報工学の礎になったのは余談だが、優秀な技術者というのは目的ではない方向に思考を進める癖があるようだ。

私の「AI開発」においては、周君も同様の癖を見せた。周君の妻は食品分析の研究をしていた日本人女性だが、周君はAIを用いた「美味しいご飯の炊き方」の開発に夢中になる。実に50種類以上の米と7つの炊飯器を事務所に揃えてしまったのだ。

周君は、主観的な「美味しさ」を数値化した。澱粉は人間の唾液に含まれるアミラーゼによって糖に変化するのだが、この糖化を最適化することが「美味しさ」の正体だとして、AIによって最適化させていったのだ。

導き出された「美味しい炊き方」は――①冷蔵した米に20℃の冷水を浸す、②水を切って38~40℃の湯で軽く2回研ぐ、③研いだ米を炊飯器へ移し、常温の水を入れる、④炊飯器を保温状態にして20分間放置したのち、炊飯を始める、というものだった。