photo by iStock

高齢患者に「蘇生しないで」…救急隊員を困惑させた家族の訴え

75歳以上の延命は不要なのか

「よぼよぼの状態で長く生き過ぎている」

「75歳以上は延命不要」――2014年、米国の『アトランティック(Atlantic)』紙上に掲載された1本のエッセイ「私が75歳で死ぬことを望む理由(Why I Hope to Die at 75)」が世界中(日本でも)で大きな議論を呼んだ。著者はエゼキエル・エマニュエル氏。医師であり、ペンシルベニア大学の医療倫理・保健政策学部長であり、「オバマケア(オバマ政権が掲げた医療保険制度改革)」成立の主導者でもあった。

Atlantic HPより
 

エマニュエル氏は、75歳になった後は、大きな医療介入だけでなく、抗生物質や予防接種さえも拒否すると宣言し、「高齢の米国人が、よぼよぼの状態で長く生き過ぎている」と主張。「私たちの消費は私たちの貢献に値するか」と疑問を投げかけた。

それから5年、現在62歳のエマニュエル氏がインタビューに答えた、「『75歳以上の延命は不要』波紋呼んだ医療倫理学者がいま語る発言の真意」(stephen.s.hall 米国版)と題する記事がこの秋、またも話題になった。

「私は75歳で死ぬつもりも、自殺するつもりもない。安楽死を求めてもいない。『寿命の延長、ただそれだけのために薬物治療や医療介入を受ける』という行為をやめるだけ」

「多くの政治家が、『我々の持つもっとも貴重な富は子ども』と言っているにもかかわらず、国はその言葉に沿った行動を取っていない。大人、特に高齢者に投資するほどには、子どもに投資していない。たとえば連邦予算は、18歳未満の人に回される1ドルにつき、65歳以上の人には7ドルが回されている」

といったエマニュエル氏の主張は、高齢者およびその家族、とりわけいま現在、延命の選択を迫られている人たちにとっては非情に突き刺さるだろう。

だが、賛同する人も、決して少なくはないはずだ。実際日本でも、特に終末医療の分野で、「高齢者に対する延命治療」は大きな問題になっている。