〔PHOTO〕gettyimages

2020年、米選挙イヤー突入で東アジア全域に「乱」の予感

今後「米中対決」は長期的かつ全面的に
2020年の新年明けましておめでとうございます。
いまからちょうど10年前の2010年に、「現代ビジネス」で始めたこの連載も、11年目を迎えます。10年前よりもますます発展し、かつ複雑化していく東アジアの鼓動を、今年もお届けして参りたいと思います。引き続きご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。
 

2020年、東アジアの「乱」

ここ数年の東アジアは、「乱の時代」を迎えている。過去5年を見ると、いずれもどこかの地域で「乱」が起こっている。

2016年は韓国で「乱」が起こった。朴槿恵政権を打倒すべく、「ろうそくデモ」が、韓国全土で繰り広げられたからだ。

2017年は、北朝鮮で「乱」が起こった。ミサイルの発射実験や核実験などを繰り返し、ドナルド・トランプ政権が発足したアメリカと、一触即発になったことは、まだ記憶に新しい。

〔PHOTO〕gettyimages

2018年は、中国が「乱」となった。アメリカから激しい貿易戦争を仕掛けられ、世界2位の経済力を誇るとはいえ、アメリカの3分の2の規模しかない中国は混乱し、不況の時代が加速していった。

2019年は、周知のように香港が「乱」となった。6月に始まった逃亡犯条例改正に反対するデモは、次第に香港全体に広がり、1997年にイギリスから中国に返還されて以降、最大かつ最長のデモが、現在でも断続的に続いている。

〔PHOTO〕gettyimages

それでは、2020年に東アジアで「乱」が起こるのは、どの地域なのか? 私は1ヵ所ではなく、いくつかの地域で起こるような気がしてならない。言ってみれば、「火山噴火」の連鎖である。

世界の近未来予測で知られる米ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長は、昨年暮れの『日本経済新聞』(12月19日付)に、「『未曽有の難局』に備えよ」と題したコラムを寄稿した。

ブレマー氏によれば、1)グローバル化の行き詰まり、2)世界景気の下降局面、3)地政学上の下降局面(70年~80年周期で協調と対立を繰り返す)、4)地球温暖化による気候変動、という4つのリスクが、同時にやって来つつあるという。そのため、まさにコラムのタイトルにあるように、「『未曽有の難局』に備えよ」と警告を発しているのだ。

私は、一部はブレマー氏の主張とも重なるが、もう少し狭い範囲――われわれが住む東アジア地域について観察し、「火山噴火」が各所で起こりそうだと予測する。そのおおもとの要因は主に二つあり、いずれも太平洋の彼方のアメリカが関係している。

第一は、トランプ大統領の不作為による東アジアのリスクの増大である。これは中東や南アジア、南米など、世界各地で起こっている現象と同じだ。

トランプ大統領の外交政策は、周知のように「アメリカ・ファースト」である。これには二つの意味があって、一つは「外国の利益よりもアメリカの利益を優先させる」ということだ。

つまり、いくらアメリカの同盟国だからといって、アメリカの歴代政権のように同盟国を慮ることはせず、アメリカの利益を前面に押し通すということだ。在日米軍や在韓米軍の駐留経費を従来の5倍も要求するというのは、こうした姿勢の表れだ。

もう一つは、「なるべくアメリカ国内のことに専念する」、つまり「他国のことはあまり考えない」「他国の内政には干渉しない」という意味だ。そのためトランプ大統領は、歴代のアメリカ大統領に較べて、恐ろしくアジアのことに無関心な大統領と言えるのだ。

〔PHOTO〕gettyimages

今年は、11月にアメリカ大統領選が行われる4年に一度の「選挙イヤー」である。選挙まで残り1年を切って、いまやトランプ大統領は「アメリカ・ファースト」どころか、「トランプ・ファースト」になりつつある。すなわち、「大統領選挙で自分の再選にプラスになる外交だけを行う」という傾向が、顕著になってきているのだ。

そうした外交の極めつけが、大統領選の最大の政敵であるジョン・バイデン前副大統領を貶めようとした「ウクライナ疑惑」だろう。すでに下院では大統領弾劾を可決し、年明けからは上院で審議が始まる。上院で与党・共和党から20人の造反が出ない限り、弾劾は成立しないというものの、トランプ大統領のピンチは続く。

 
この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら