「猫が毛玉を吐いていた」「うちの犬が下痢しちゃって」そんな話を聞くことは多い。「うちのこは吐きやすいから」と思う人もいるだろう。人間と同じように、未消化の状態で戻してしまったり、食べすぎて腸が弱った故に下痢になったりすることもあるという。

しかし中には迅速に病院に連れて行かなければならない時もある。年末年始で休診の動物病院も増える中、家でどのように判断すればいいのだろうか。獣医師で作家の片川優子さんに伝えてもらおう。

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「吐く」という症状は2種類ある

これから年末年始の休みに入ってしまう動物病院がほとんどだろう。その間に愛犬・愛猫にもしものことがあったら……と不安に思う飼い主は少なくないはずだ。

そこで今回は、環境が変わると起こりやすい吐き・下痢などの消化器症状について、病院受診のタイミング、そして見逃してはいけない緊急疾患について特集したい。

一般的には「吐く」とひとくくりにされることが多いが、厳密には「吐く」行為は「吐出(としゅつ)」と「嘔吐」の2種類に分けられる

「吐出」は食べたものや飲んだものを、胃の中に入る前に吐き出すことをさす。通常なんの前触れもなく、お腹にも力が入らずに、未消化物を吐き出す。産まれたばかりの赤ちゃんが突然ミルクを吐くのも、この吐出に分類される。

一方「嘔吐」は、胃や腸から食べたものや飲んだものを吐き出す行為で、吐く前にそわそわしたり、よだれが増えたり、「オエオエ」と苦しそうにしたりと、前動作がある。また、犬の場合、横から見ていると、お腹に力が入りぎゅっとへこんでいる様子が確認できる。

カーペットでも毛玉を吐くことは多い。直接触れずに処理をして、消毒をこころがけよう Photo by iStock

この吐出か嘔吐かで、飼い主の対応が大きく変わるわけではない。しかしその後病院にかかった場合、獣医師にとってこの違いはペットの病気を特定する上で重要なヒントになる

愛するペットが急に吐いてしまったら、慌ててしまうのも無理はないが、上記のようなポイントを頭の片隅に置きながら様子を見てあげてほしい。自分では判断できない場合は、吐いている様子を動画に撮ったり、吐物の写真を撮ったりして、獣医師に見せるのも有効だ。

ちなみに猫の場合は、毛づくろいのときに飲み込んだ毛玉を吐くことがある。我が家にも中長毛の猫が2匹いるが、1〜2ヵ月に一度、思い出したように毛玉を吐く。たまに吐く程度なら生理的なもので、特に心配する必要はないが、例えば毎日吐いている、といった場合には、他に病気が隠れている可能性もあるので、一度病院に相談してみるとよいだろう。

注意したいのは、犬で吐きたくても吐けなかったり、なんども嘔吐するが泡しかでない、などといった症状があり、お腹が普段と比べて張っている場合だ。食後などに胃が急速に拡張し、さらにねじれてしまう胃拡張・胃捻転症候群(GDV)という病気が隠れている可能性がある。

一般的にはジャーマンシェパードドッグやラブラドールレトリーバーなどの大型犬に多く発症するとされているが、ミニチュアダックスフンドやウェルッシュコーギーなどの胴が長い犬種でも起こることがある。

GDVの死亡率は約2割と、亡くなることの多い病気であり、治療開始までの時間が長いと死亡率が上がる、という報告もある文献1文献2。夕食後発症した場合、朝まで待つと死亡率が上がってしまうので、もしかしたら、と不安に思ったら、まずは夜間でも診察している病院に電話してみると良いかもしれない。