富野由悠季が語り尽くす、技術の残酷さと「GAFAに対する違和感」

独占ロングインタビュー【中編】

ガンダムシリーズの生みの親・富野由悠季氏に、最新作『Gのレコンギスタ』に込めた思いをはじめ、現代社会の問題、作品づくりにおける哲学を聞くロングインタビュー。中編では、作品論から「技術と人間」という普遍的テーマへと話題が広がってゆく。(聞き手/部谷直亮[慶應義塾大学SFC研究所上席所員] 写真/西崎進也)

 

「技術の進歩=善」ではない

――『Gのレコンギスタ』では、かつてあまりに高度な科学技術が人類を滅ぼしかけたことの反省から、旧時代の技術の使用が、危険な「タブー」として制限されています。この設定には、どんな思いが込められているんですか?

富野 ガンダムワールドには宇宙世紀という戦争ばかりの時代があって、いったん人類はほとんど絶滅したという状況で、だから『Gのレコンギスタ』の世界の人々は、技術はもうこれ以上進歩させてはならないと考えてるわけです。僕自身もそういう発想を、10年ほど前から抱いていました。

例えばドローン。関連技術が急速に進んで高性能になって、すごく小型で静かになっているけど、あれでスパイ行為や盗み撮りをされる可能性もある。軍事やテロに応用されてもいる。しかも、ドローンの姿勢制御に使われる技術は、どのような人にも集団にもオープンにされていますが、どう悪用されるかわからないし、ちょっと無神経なんじゃないかと思っています。

いまの技術者の世界では、知識はオープンにするのが当たり前なのかもしれないけど、それには落とし穴もあるということを彼らはどこまで考えてるのかな。こういうことは世間では誰も言わないですね。

『Gのレコンギスタ』で主人公が主に搭乗するモビルスーツ「G-セルフ」(©︎創通・サンライズ)

――富野監督は1991年の『機動戦士ガンダムF91』で、すでにドローンに似た無人の自律型殺戮兵器「バグ」を登場させていました。そういう風に、劇中で描いた未来の技術がいま現実のものになりつつあるわけですが、監督から見ると違和感があるということですか?

富野 なんというか、現代人の物の考え方というのは、自然から学んでいたこと、つまり動物として持っているはずの体感みたいなものを全部おざなりにしたところで、あらゆるものがクリーンになればいい、と思っているようで……その感度の悪さね。悪さというより、劣化していると感じます。僕は、その劣化を少しでも食い止める方法や哲学を考えるべきじゃないか、と基本的には考えています。