# 環境問題

グレタさんばかりが注目される「COP25」の日本人が知らない現実

国連事務総長は何に「失望」したのか
夫馬 賢治 プロフィール

農業に大きな焦点

COP25で合意できなかったもう一つの大きなテーマが、「国際協力と市場メカニズム」だ。

これは、あるA国での削減分を、他のB国に販売して、B国の削減分としてカウントできるようにするというもの。仕組みは、京都議定書の1998年から普及しており、仕組みそのものには目新しさはない。

それなのにどうして今回、それほどまでに揉めたのかというと、キーワードは「土地利用変化」だ。英語では、「Land Use Change」で、略してLUCとも言われる。

 

空気中の二酸化炭素を減らすためには、植林しましょうという話は聞いたことがある人もいるだろう。植物は、二酸化炭素を吸収して養分に変えるため、緑が増えれば、大気中の二酸化炭素が減る。京都議定書でも、植林は「二酸化炭素削減分」としてカウントすることが認められていた。

これについて今回物申した代表的な国が中国だ。実は中国は過去10年間ほどで、ものすごく植林をしている。これは、中国の国家計画でもある「5カ年計画」の中に植林の数値目標が設定されているためで、あの広大な中国の領土で、世界の中でも類を見ないほど緑化が進められている。

その中国からすると、頑張ってきた過去10年間分の緑化も、今回の削減分としてカウントしてほしいということになる。しかし、それでは将来の必要な削減分が少なくなってしまうことになるため、EUや太平洋の島国が強く反対し、合意できなかった。

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別の意見がブラジルからも出た。植林が「削減分」として認められるのであれば、既存のアマゾンの熱帯雨林を「伐採しないままにしておいた」ことでも「削減分」として認められるべきという主張だ。

ブラジルでは、アマゾンの熱帯雨林を伐採し、畑や牧草地にする動きが顕著なため、熱帯雨林のまま残しておいたことを評価してほしいという話だが、やはりそれでは将来必要な削減分が確保されないとEUや太平洋の島国が反対した。

これも今回合意に至らなかったポイントだが、農業に大きな焦点が当たってきていることがわかる。