# 環境問題

グレタさんばかりが注目される「COP25」の日本人が知らない現実

国連事務総長は何に「失望」したのか
夫馬 賢治 プロフィール

国連事務総長は何に「失望」したのか

今回のCOP25で、「合意に至らなかった」と表現され、国連事務総長が「失望した」のは別のテーマだ。

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1つ目は、各国が定めた自主目標をさらに引き上げようという話だ。パリ協定の大きな特徴は、各国での二酸化炭素排出量削減目標を、全体で決めるのではなく、各国が自主的に定めるとした点にある。

各国が削減目標を定める以前のペースでは、2100年までに産業革命(だいたい1880年ぐらいと思って頂きたい)以前から、平均気温が5.4℃上がるペースだった。それが、各国が提出した削減目標では、なんとか気温上昇を3.2℃まで、2.2℃分引き下げる見通しが立ってきた。もちろん目標を各国が達成すればの話だが。

 

一方で、パリ協定では、2100年までに「気温上昇を2℃に抑えよう。できれば1.5℃」で国際合意に至ったが、その後の報告で2℃上昇すると自然災害等の被害が大きいことがわかり、1.5℃が既定路線になってきた。そのため、国連事務総長は、なんとか3.2℃から1.5℃へとあと1.7℃分下げるための目標引き上げを期待していた。

実は5.4℃から3.2℃に引き上げただけでも、経済や社会は激変する。かつて京都議定書の時代には、2008年から2012年までで、日本で1990年比6%削減、アメリカで7%削減、EUで8%削減というだけでも達成は難しいと言われ、実際に各国は本気にならなかった。

しかしパリ協定の時代には、EUで2030年までに40%減、日本も2030年までに26%減、中国はGDP当たりで60%から65%減という目標を提出した。それでもまだ1.7℃分足りない。