壇蜜「結婚して3ヵ月で夫を失くした人妻」の心境を語る

初小説『はんぶんのユウジと』

誰もが回想しながら生きている

―イオリは実家暮らしで仕事も長続きせず、何をするにも自分から動き出さない性格で、親の言うままに生きてきた、受け身で自活できない女性です。自身を投影した部分はありますか?

私はグラビアのお仕事をする前、30歳まで親元にいましたから。家にお金を入れられない時期もありましたし、一人前でない人間を、過去に生きているんですよね。

私は、人は誰も回想しながら生きていると思っていて、私も未来のこと、自分より歳を重ねた人物は書けないなと思うし、自分の経験から広げて書くしかありませんでした。

―連作を通して、人と人との関係性、距離が丁寧に描かれますが、タイトルにもある「はんぶん」がキーワードになっています。

 

食事したレストランで、ユウジとイオリはビーフシチューとハンバーグを半分に分けあうけれど、冷めてしまって美味しくないとイオリは思う。象徴的なエピソードだと思いました。

イオリもユウジも一人で生きるには「半人前」。じゃあ、半分と半分があわさったら一人前で、立派になるかと言うと、そんな素敵な話じゃない。

ピザのハーフ・アンド・ハーフにしても、結果、満足度は下がったり、リバーシブルの服を買っても、どちらか一面しか着なかったり。

半分こって、お得だったり分かち合いだったりいいイメージもありますけど、結局は弱いほうばかりが目立ってしまったり、案外「しょうもない」ことなんじゃないかと思うんです。結婚にしても同じかなって。

―ユウジの遺骨を、イオリが家の流し台でぞんざいに扱う場面は、生々しいなかに可笑しみもありました。過去に葬儀の仕事をされていた壇蜜さんならではの表現ですね。

はじめて葬儀の見学で骨壺を見たとき、細かなお骨がなみなみと入っていて驚きました。地域によって風習は違うのでしょうけれど。小説を書く時に、自分の経験や、好きな作品を継ぎ接ぎにしているんですよね。