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壇蜜「結婚して3ヵ月で夫を失くした人妻」の心境を語る

初小説『はんぶんのユウジと』

「夫を喪っても、悲しめない人」

―'19年11月に、漫画家・清野とおるさんと結婚されたばかりの壇蜜さん。『はんぶんのユウジと』はその前に刊行された連作小説集ですが、奇しくも「結婚」がテーマの一つです。

26歳のイオリは、両親に急かされた見合いで出会ったユウジと結婚したものの、3ヵ月目にして夫は病死してしまう。表題作では、イオリの心の機微がまるで壇蜜さん自身が話されているかのように、淡々と描かれます。

小説を書こうとしたときに、「この世の中には、どんな人がいるんだろう」とまず考えたんです。そんな時にたまたま読んだのが、西岸良平さんの『三丁目の夕日』でした。

 

結婚してすぐに夫を戦争にとられてしまった女性が、「たった数週間だけど、私は幸せでした」と喪った夫を述懐するエピソードを読んで、平成、令和になった現代でも、同じような人っているのかな……と思ったんです。そんな思いつきから生まれたのが、イオリでした。

イオリについて考えているうちに、「夫を喪っても、悲しめない人」がいるとしたら、どんな人だろうって頭に浮かんだんですね。そこから、彼女の背景を作っていきました。

大恋愛の末の結婚でもないし、3ヵ月一緒に過ごしたと言っても、どこまで心が通じ合ったのか。悲しいのか分からない、悲しいはずだけど、どう振る舞ったらいいか分からない。でも、大事な人を目の前で亡くして悲しくないはずはないんだ……そんな思いを描くようにしました。