実は解決していた?「オゾン層破壊問題」30年間で起きていたこと

「オゾンホール世代」と地球温暖化
熊谷 玲美 プロフィール

オゾンホールの大きさは、南極の極渦の状態に左右される。2019年は南極上空の気温が通常より高く、逆に2018年は低かったため、オゾン破壊の進み具合に影響したらしい。

 

年によって変動はあるものの、全体としてみれば、オゾンホールの規模は2000年をピークに横ばいか、やや縮小気味にみえる。

1979年以降のオゾンホール面積の年最大値の経年変化。緑色の破線は南極大陸の面積を示す。米国航空宇宙局(NASA)提供のTOMSおよびOMIデータをもとに作成(出典:気象庁HP)
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オゾン層破壊の流れを変えたのが、1987年に締結された「モントリオール議定書」だ。

オゾン層を破壊するおそれのある化学物質の生産や消費、貿易を規制する取り決めで、この議定書にもとづいて、1996年以降、先進国で特定フロンなどが全廃された。

気象庁のデータを見ると、大気中の特定フロンなどの濃度は1990年代後半から減少に転じている。フロンは大気中に長くとどまるため、変化の速度はゆっくりだが、着実に減少しつつある。

イギリス・リーズ大学の研究グループは2015年、モントリオール議定書がなければ、南極のオゾンホールの面積は40%大きくなっていたとする研究結果を発表した

また2018年には、NASAの人工衛星による観測で、オゾンを破壊する塩素が減少している直接的な証拠が見つかった。その結果、南極の冬のオゾン破壊は2005年に比べて約20%減少しているという

モントリオール議定書には意外な効果もあった。オーストラリアのニューサウスウェールズ大学の研究グループは2019年12月6日、モントリオール議定書がオゾン層破壊だけでなく、地球温暖化も抑えていたことを明らかにした

モントリオール議定書が存在せず、フロンの排出量が毎年3%ずつ増加していたという仮定で計算すると、地球の平均気温は2050年までに少なくとも1度は高くなってはずだという。フロンには、二酸化炭素の数千倍もの温室ガス効果があるためだ。

地球温暖化にも行動を

80年代から90年代にかけて、私たちを不安にさせたオゾン層破壊の問題は、モントリオール議定書という国際的な取り組みのおかげで、少しずつではあるが回復に向かっている。

「世界はオゾン問題を解決した。気候変動も解決できる」。12月7日の「ニューヨークタイムズ」紙の論説記事の見出しだ。

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