実は解決していた?「オゾン層破壊問題」30年間で起きていたこと

「オゾンホール世代」と地球温暖化
熊谷 玲美 プロフィール

このオゾン層が、人間が排出したフロンガスによって破壊されると、太陽からの有害な紫外線が地上に届きやすくなる。とくに、極地方のオゾン層に穴が空いたようになるのが「オゾンホール」だ。

2000年9月10日時点でのオゾンホール Photo by Getty Images
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フロンはかつて冷蔵庫やクーラーの冷媒や、ヘアスプレー用に使われていた人工的なガスだ。1930年代に産業利用が始まり、1950年代から60年代にかけて生産が急増する。

 

1974年になって、カリフォルニア大学アーバイン校のモリーナとローランドが、成層圏のオゾン層がフロンなどの化学物質によって破壊される化学的メカニズムを明らかにした

当初は、「空気よりも重いフロンが成層圏まで到達することはないから、オゾン層破壊は起こらないのでは」という反論があった。しかし実際には、空気より重くても大気の対流によって上昇し、一部が成層圏に到達している。

1985年には、実際に南極の上空でオゾンホールが観測された

オゾンホールの発生に重要なのは、「光」と「低温」だ。

地上で放出されたフロンは、飛行機が飛ぶ高度よりはるかに高い、上空40km付近の上部成層圏に到達すると、紫外線を受けて塩素原子を発生させる。この塩素原子がオゾン破壊の主犯格だ。

ただし南極には、他の地域にはないオゾン破壊のしくみがある。真冬の南極では、極渦というきわめて冷たい空気の渦ができる。この極渦内では、成層圏に「極成層圏雲」という特別な雲が発生し、その表面で起こる化学反応によって塩素分子が発生する。

極成層圏雲(別名真珠母雲) Photo by Getty Images
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この塩素分子は真っ暗な冬の間、極渦内に蓄積する。そして春が近づき、南極に太陽光が戻ってくると、それがスイッチになる。たまっていた塩素分子が紫外線を受けて塩素原子に変わり、急激にオゾンを破壊しはじめるのだ。

南極のオゾンホールは、この冬の終わりから春の初めにあたる、9月から10月に毎年発生している。

回復の糸口は「モントリオール議定書」

10月21日にNASAは、2019年の南極のオゾンホールの面積が観測史上最も小さかったと発表した。

一方で2018年のオゾンホールは平均よりも大きかったという。

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