連日、グレタ・トゥーンベリさんの地球温暖化への訴えがニュースに取り上げられている。報道を見るたびに、かつて「オゾン層破壊問題」に不安を抱いていたことを思い出してしまう「オゾンホール世代」の熊谷玲美氏。
「今月の科学ニュース」は、オゾンホールの発生理由からその回復へ向けた取り組みまで、オゾン層破壊問題に人々がどう対処したのかを振り返る。
「今月の科学ニュース」は、オゾンホールの発生理由からその回復へ向けた取り組みまで、オゾン層破壊問題に人々がどう対処したのかを振り返る。
オゾン層破壊問題を憶えていますか?
このところ、グレタ・トゥーンベリさんの名前を聞かない日はない。先日「タイム」誌の「今年の人」に史上最年少で選ばれた。

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来月17歳になるトゥーンベリさんは2003年生まれ。京都議定書が議決された1997年には生まれていない。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)とアル・ゴア米元副大統領が、気候変動問題への取り組みでノーベル平和賞を受賞した2007年でも、まだ4歳。

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生まれたときから気候変動問題が目の前にあった世代だ。
現在40代なかばの私が10代のころ、環境問題といえばオゾン層の破壊だった。1985年に南極でオゾンホールが発見されたというニュースは世界を揺るがした。
当時の私は、やがてオゾン層の破壊が進んで、地球が住みづらい場所になるという話を聞いて、不安になっていた。トゥーンベリさんが地球温暖化の進んだ未来への不安を訴えるのを聞くと、そんな子ども時代の不安が重なる。
しかしオゾン層破壊の問題も、最近では以前ほどニュースにならない。若い世代には、オゾン層破壊のことをよく知らない人たちも増えているかもしれない。
オゾンホールはなぜできるのか
地球の成層圏には、酸素原子が3個集まったオゾンという分子の層「オゾン層」がある。