NASA・ジェット推進研究所が語る「宇宙開発とクラウド」の未来

3つの脳を備えたマシンで宇宙探査!?
西田 宗千佳 プロフィール

リッジクレスト地震は、同地域で過去20年間に起きた地震のなかで最大規模を誇る。7月5日の本震では、マグニチュード7.1を記録した巨大地震だ。

「リッジクレスト地震が起きた際にも、AWSの多くのサーバーを使い、さまざまな衛星からの衛星画像を比較・検討し、地球がどのように変化したかのマップを自動的に作成しました。それを、関係者にやはり自動的に送ったのです。

そのデータを受け取ったうちの1人が、実際に新しい地震断層を見つけることに成功しました。彼は、その情報をフォロワー全員に送信しています。ここまでに要した時間は、わずか数分以内です。

リッジクレスト地震の後に地表がどのように変化したかを表した衛星図 Photo by NASA

情報へのアクセスを容易にし、さらにそこに専門的な知見を追加できるようにすることで、大きな価値が生まれます。同じことが、他の地震や津波にも活かせるでしょう」(ソルダーストーム氏)

大量の小型衛星からデータを集積

もう一つ、ソルダーストーム氏は「小型衛星の増加」の影響を挙げる。

「多くのスタートアップが生まれ、小型衛星の製造・打ち上げがずっと安価になりました。多くの大学も取り組んでいます。

AWSは『Ground Station』とよばれる地上局事業をはじめており、小型衛星から手軽かつ安価にデータを得られるようになりました。それらの新しい情報は、地球をより良く理解することにつながります。

もちろん、それらをAIで処理することで、さらに新しい情報を得られます。データはクラウドに置かれ、さまざまなタイプのデータを相互に比較することも可能です」

すなわち、宇宙から得られる情報を処理するためには、クラウドの規模をうまく活かすことが必要になっているのだ。

JPLはAWSだけでなく、複数のクラウドインフラ企業と契約を交わしている。データを安定的に、長期的に保存するため、AWSとは「10年契約」を交わしているという。

 

「データの収集は重要です。科学者はつねに、新しい分析方法を考えています。そして、過去のものが間違いだとわかり、新しい分析方法を見つけたら、すべてを分析し直す必要がある。現在の機械学習による画像解析は非常に有用ですよ」(ソルダーストーム氏)

そのうえで、「宇宙開発にとって重要な技術」とは、どのようなものなのか?

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