他人の家に意見せずにはいられない
ネットコメンテーターたち

そもそも海野さんには、「家事は女性がやるもの」や「男性は家事が苦手」といった固定概念が薄いともいう。それは自身の育ってきた家庭環境にある。

「私の家は、父が公務員、母が看護師の共働きだったんですね。母が土曜日も仕事だし、夜勤や早出もあって、家にいないことが多い。そういうときは父が当然のように家事もすべてこなしていました。『片方が忙しければ片方が』という感じで自然と。だから、女性が家事をやるべきだ、という考え方がそもそもなかった

加えて、父が突然料理に目覚めたことがあるんです。それまでは土曜日のお昼ご飯は、焼き飯かカレー焼き飯の二択しかなかったんですけど、あるとき父が、スペイン風カレーみたいなのをどこかで覚えてきて。バターライスにシーフード入りの白っぽいカレーを大皿でどーんと作ってくれた。

それが家族に大好評で、父は気をよくしたのか、そこから急に凝り始めたんですね。今では正月のおせちも父が全部作ってしまうほどになった。焼き飯とカレー焼き飯しか作れない男性が家族の嬉しい一言でここまで変わっていく姿も見ていたので、男性は家事ができない、とも思わない

※写真はイメージです〔PHOTO〕iStock

海野氏は、作品に対しての意外だった反応を振り返る。

「一度、『みくりが作る料理の品数が少ないのが気になる』という感想があって驚きました。その人は、作中でご飯と味噌汁と大皿のおかずで完結しているのに違和感があったみたいなんです。副菜は?みたいな。もしかしたらその人は、お母さんが毎食いくつも品数揃えるようなお家で育ったのかもしれないですね。

私は一人暮らしの時期も長かったので、なるべく洗い物は減らしたくて、炭水化物もタンパク質も野菜もぜんぶワンプレートで完結させよう、鍋もひとつで済ませよう、みたいな“なるべくまとめよう”という意識が強かったのですが、一方で世間ではそういった“なるべく増やそう”みたいな大きな勢力もある。

もちろん、たくさんの品数を作りたい人は作ればいいんです。でも、それが当然だと思って、わざわざ他人に『あなたのそれ間違っていませんか』といちいち指摘しに行く感じはどうなんだろう、と。別に、その家の人たちがそれで満足していたらいいじゃないですか。

でも最近は口うるさいネットコメンテーターが多いから、たとえば辻ちゃんがブログに載せるお弁当にウインナーが多すぎるみたいなことで炎上したりする。ウインナー、子ども好きだし別にいいじゃん、って私はびっくりしたんですけどね。どこかで“こうあるべき”みたいな信仰を押し付けようとする人たちはいますね。

ネットの意見って極端じゃないですか。白か黒しかない、みたいな。でも、そもそも世界は濃淡のあるグレーのものばかりです。白黒決めずにグレーの濃淡を楽しんだ方が、自分も周りも楽なんですけどね