百合に対する反響の大きさに驚く

主人公の津崎平匡は京大出身のエンジニア、高収入で容姿も悪くないというスペックながら、36歳でみくりと出会うまで恋愛経験のない“高齢童貞”という設定だ。

相手男性は草食男子と最初から決めてました。なかなか向こうから動かない彼らと恋愛関係になるためにはどうすればいいんだろう、と考えていたときに思いついたのが『契約結婚』という設定だったので。たとえそれが仕事としての関係だとしても、まず夫と妻という設定を与えられたら、役を演じているうちに自分でもアクションを起こすかもしれない」

『逃げるは恥だが役に立つ』第2巻より (C)海野つなみ
『逃げるは恥だが役に立つ』第2巻より (C)海野つなみ
『逃げるは恥だが役に立つ』第2巻より (C)海野つなみ

みくりじゃないと、平匡さんとはうまくいかなかったでしょうね。面倒臭い性格をした彼を面白がれる女の子ってどういう子だろう、って考えたとき、心理学を学んでいるという設定を思いつきました。

相手の一挙一動に対して『この人はこういう心理で動いているんだな』とか裏を読もうとしてくれる子。素朴な女の子だったら『なんで私ばかり押してるんだろう』とか『私のことなんて好きじゃないのかな』って考えてしまって、結局離れていっちゃうだろうな、って」

連載を始めた当初の驚きとして、海野さんは土屋百合に対する反響の大きさも挙げる。みくりの母方の伯母であり、化粧品会社勤務のバリキャリ。美人で若い頃はモテたが、処女のまま閉経してしまった52歳の女性である。ドラマでは石田ゆり子が演じている。

処女のまま閉経という設定のインパクトが大きかったみたいです。『私も百合ちゃんみたいになったらどうしよう』とか、もしくは同世代からの『50代の女性の物語を待っていた』とか、とにかくいろんな声が読者から届いた。最初は脇役のつもりだったけど、その声に応える形で、もっと掘り下げて描いていこうと思い、最終的にはダブルヒロインのようになっていましたね」