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大原 浩 プロフィール

EUは泥船が確定した

輝かしい未来が待っているであろう英国とは対照的に、「タイタニック号」のように船体に穴が空いて沈み始めているのがEUである。

3月19日の記事「ブレグジットで『崩壊する』のは、結局EUのほうである」、9月5日の記事「ハード・ブレグジットは『当たり前』大陸欧州と英国の『水と油』関係」、11月8日の記事「ブレグジットが『前進』するウラで、次はEUが『崩壊』してきたワケ」などで解説してきた、EUの抱える現在の重要な問題を3つ挙げると次のとおりだ。

 

1. フランスの官僚主義が色濃く反映した「全体主義的」なEUの運営と、職員や政治家の特権待遇に、先進国を中心とした加盟国の国民たちが「ノ―」を突き付け始めている。
2. 南欧・東欧の経済が低迷し、EUのお荷物になっている。
3. 政治的盟主のフランス、経済的盟主のドイツがどちらも低迷している。

要するに、良いところが無い「ダメダメ」状態なのだが、1については「ハイヒール規制」という有名な事件がある。看護師が病院内で高いハイヒールを履くのは危険だから、ヒールの高さを規制するEUルールを定めようという動きである。

さすが、この試みは反対が多く流れたようだが、大陸欧州は英国と違ってかなり「全体主義」的である。

ドイツ国民が1933年の総選挙によってヒットラー政権を誕生させたのは有名な話だ。しかし、フランス革命で民衆が王制を打倒した後、ナポレオン・ボナパルトが1799年にクーデターで第1大統領に就任し、その後自らを「フランス人の皇帝」に選ばせる選挙を行う。その結果、なんと国民の圧倒的な賛成で1804年に皇帝ナポレオン1世として即位している。

このような全体主義的なドイツとフランスという2つの国がリードするEUが民主的になるはずもなく、同じく全体主義の共産主義中国同様、一時期もてはやされたものの、結局、泥船として沈む運命にある。

2の南欧・東欧、特にギリシャ問題は最近あまり騒がれないが、これらの国々は、10年以上前のリーマン・ショックの痛手が癒えておらず、モルヒネで激痛を抑えているだけに過ぎない。

実際、これらの国々の状況を見ると「住専問題をはじめとする日本のバブル処理はなんてすばらしかったんだろう」と思えるほどである。

3に関しては、これまで好調だと思われてきたドイツの経済が実は「リーマン・ショックの解決を先送りしていた」ことが最近明らかになってきている。最強と呼ばれていたドイツ銀行の凋落がその典型だ。しかも、政治的にもメルケル首相の求心力が落ちてきており、今後の政局は大きく混迷することが予想される。

フランスも、2018年12月17日の記事「パリから始まる反グローバリズムのうねりは『世界革命』に移行するか」や2019年12月21日公開の「年金改革でパリが炎上中、日本でも改革を行えるのか?」で述べた様に、エリートのボンボンであるマクロン氏が大統領になってからは、国内の政治が混迷し、EUの盟主を気取っている場合ではなくなっている。

英国だけではなく、日本(企業)もEUとは距離を置く方が賢明だと考える。