伊藤詩織さん勝訴、誰もが知っておくべき判決の「最重要ポイント」

裁判所の判断は、いかに下されたのか
崎山 敏也 プロフィール

さらに寿司店を出た時、伊藤さんが強度の酩酊状態だったことは山口氏も供述しており、約2時間という短時間のうちに、酔った様子が見られないまでに回復したというのは疑わしいとしました。

性行為前後の伊藤さんの言動についても、事件の数週間後に山口氏が伊藤さんに送ったメールの内容と、法廷での山口氏の供述内容が矛盾していると指摘し、「被告の供述は、本件行為の直接の原因となった直近の原告の言動という核心部分について不合理に変遷しており、その信用性には重大な疑念がある」としました。つまり「山口氏の供述は信用性が低い」としたわけです。

 

どこかかみ合わない見解

判決のあとの記者会見で、山口氏はまず「客観的証拠もないのに、一方的に伊藤さんの主張だけが認められたのは納得できない。私は法に触れる行為は一切していない。控訴する」と述べました。

そして、その後の日本外国人特派員協会での記者会見では、山口氏の弁護士が「客観的な裏付けや証拠もないのに、伊藤さんの供述だけで強姦致傷の事実が認定されてしまっている」「伊藤さんは明らかにウソをたくさんついています。そのことを全て無視して信用性を比較しています」と述べました。

山口氏サイドでは、どちらの会見でもこの「伊藤さんがウソをついている」という主張とそれに関する質疑が多く、裁判所が下した「信用性」の判断に対する直接的な反論はほとんどありませんでした。「客観的証拠に基づいて、伊藤さんの主張の矛盾点を複数主張したが、事実認定もされず、裁判所に無視されている」と話したくらいです。確かに判決文を読んでも、被告側が「提出した」という客観的な証拠への言及は見つからず、裁判所が重要視しなかったことが窺えます。

会見で話す山口氏(TBSラジオ提供)