伊藤詩織さん勝訴、誰もが知っておくべき判決の「最重要ポイント」

裁判所の判断は、いかに下されたのか
崎山 敏也 プロフィール

判決では「これら原告の行動は、原告が被告との間で合意の下に性行為に及んだ後の行動としては不自然に性急であり、むしろホテルから一刻も早く立ち去ろうとするための行動であったとみるのが自然である」とし、性行為が伊藤さんの合意のもとに行われたのではなかったことを認めました。

さらに畳みかけるように、「その日のうちに産婦人科を受診して、アフターピルの処方を受けているが、これは性行為が原告の予期しないものであったことを裏付ける」「数日後に友人2人に事実を告げて相談し、さらに、警察署に申告して相談した」など、その後の事実関係と、伊藤さんの供述は整合性があるとしています。こうしたことを総合して、裁判所は「伊藤さんの供述は信用性が高い」としたわけです。

判決後の会見で話す伊藤さん(左から2人目、筆者撮影)

伊藤さんの弁護士は、判決後の記者会見で「被害後の詩織さんの行動、早朝にシャワーも浴びずに出て行った、アフターピルを処方してもらうために医者に行った、友人や警察に相談したといった被害後の状況を、しごくまっとうな、被害者としてあるべき行動だと裁判所が評価したことが大きかった」と話しました。また支援者への報告会でも、別の弁護士が「裁判官が性暴力にあった被害者の心理をきちんと理解していると感じた」と評価しました。

 

山口氏の供述については…?

いっぽう山口氏の供述について、判決はまず、2人が立ち寄った寿司店は駅のすぐ近くであることから、「(駅まで歩いて送り、伊藤さんを電車で帰宅させることもできたのに)被告(注・山口氏)がタクシーに原告を同乗させた点について合理的な理由は認め難い」としました。

そして、「ホテルの部屋で原告が午前2時ごろに目覚めた際、(伊藤さんは)『私は何でここにいるんでしょうか』と述べ、就職活動についても何度も尋ねており、酔っている様子は見られなかった」という山口氏の供述については、「原告が述べた言葉自体、原告がホテルの部屋に入ることについて同意をしていないことの証左というべき」としています。