20年で市場規模3倍「図鑑」の人気が大復活している理由

2010年代「図鑑戦争」の内幕
飯田 一史 プロフィール

「映像付き図鑑」が当たり前に

以下の新聞記事が、この時期の図鑑ブームをよく伝えている。

〈小学校入学前後の児童を対象とした、小学館の「プレNEO」シリーズでは、ぞうきんの絞り方やちょうむすびの仕方など、基本的な生活技法を紹介する「せいかつの図鑑」が約20万部のヒットとなった。担当者は「『おにぎりを作ってみて、楽しかった』『自分で髪の毛が洗えて、うれしかった』という子どもたちからの声のほか、保護者からも『自分も知らないことがいっぱいあった』と、喜びの声が寄せられている」と語る。

同じシリーズで、きりんの首はなぜ長いのかなど、素朴な疑問に答える「ふしぎの図鑑」が25日に発売予定で、すでに10万部以上の予約が入っている〉(「読売新聞」2011年2月14日東京夕刊「大人にも楽しい 図鑑が元気 「科学」や「生活」多種多彩」)

こうして、テーマ図鑑は2011年夏には5社の商品が一斉に店頭に並ぶほどのブームとなった。

 

しかし、2012年になると読者が一巡し、キャッチーなテーマもなかなか見当たらなくなってきたため、同年の『楽しく遊ぶ学ぶ げんきの図鑑』は13万部、「物差しを使わないで長さを測るには」など生活の知恵を紹介する2013年2月発売の『くふうの図鑑』も売れ行きはピーク時を大幅に下回った(『出版指標年報2013年版』138~139ページ)。

このようにテーマ図鑑自体は3、4年で下火になったものの、『くらべる図鑑』ヒットで火がついたことで、小学館と学研でシェアを分けあっていた図鑑市場に、別の大手も参入し始めた。2011年には講談社がビジュアル性を重視したDVD付き図鑑シリーズ『MOVE』を刊行、2012年にはポプラ社も『WONDA』で参入を果たす。

さらに、これに対抗するべく2014年に学研と小学館がDVD付きの新版に大改訂、または新シリーズを刊行した。学研の新シリーズの図鑑『LIVE』はスマートフォンやタブレット端末に専用アプリをダウンロードして本にかざすと、3D映像や動画で昆虫や動物のリアルな動きを楽しむことができる、というものだ。

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