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伊藤詩織さんの判決から私たちが考えるべき「これだけのこと」

性犯罪について、日本は遅れている…

民事裁判での無罪判決

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之氏から性的暴行を受けたと訴えた民事訴訟で勝訴した。

これまで刑事では不起訴(嫌疑不十分)となり、検察審査会でも不起訴相当との判断がなされていた。

刑事と民事での判断が大きく異なったわけだが、そこには性犯罪の立件の困難さ、強制性交罪についての刑法の矛盾点が大きく影響していると言えるだろう。

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刑法では、強制性交罪、準強制性交罪について、きわめて厳格な基準を設けている。

強制性交罪であれば「暴行又は脅迫を用いて」性交をした場合に限定されるため、被害者が怪我を負ったり、 着衣が破れたりしているなど、明白な「暴行又は脅迫」の証拠がないと認められない。

また、準強制性交というのは、被害者が心神喪失又は抗拒不能な状態であることに乗じて性交をすることであり、被害者が精神障害であったり、極度な酩酊状態にあったりした場合がその一例である。

 

とはいえ、いずれもほとんどが密室で2人だけの場面で起こる犯罪であるから、暴行や脅迫があったかどうか、抗拒不能状態にあったかどうかの判断が非常に難しい。これが刑法での立件の大きな障害となっている。

もちろん、冤罪があってはならないことは当然であるが、犯罪の構成要件を厳しくするあまり、被害があっても法律そのものが被害の告発や成立を不可能にしているという批判は避けられない(「これで無罪なら性犯罪は…」強制性交事件「無罪判決」の衝撃を参照)。

一方、今回の民事裁判では、「不同意の性行為」を違法であると認めた。刑法が求める非現実的な要件ではなく、「不同意」があったことによって、重大な権利の侵害があるとされたのである。これは、来年にも予定されている刑法の見直しにも一石を投じることとなるだろう。