もはや日本人の給料が全然上がらなくなった「根本的メカニズム」

働けど、働けど、働けど…
鷲尾 香一 プロフィール

労働組合は過去のものに

実は、従業員側にも給与を“上がらなくしている”要因がある。それは、“労働組合の退化”だ。

年功賃金制が壊れ、成果主義の賃金体系に変化したことで、「定期昇給」という仕組みが崩れた。労働組合が弱体化したことで、経営に対する賃上げ要求の圧力が弱まった。

厚生労働省の労働組合基礎調査によれば、実は労働組合数は平成に入っても微増傾向を続けているものの、組合員数は1994年をピークに減少の一途を辿っている。つまり、一つ一つの労働組合が少人数化している。その上、「“御用組合化”し、組合執行部が出世のステップになっている」(大手金融機関)状況となった。

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この結果、賃上げは“個人の問題”とされるようになり、「今は、成果が評価されるか、ポジションが上がる以外に給与が増えることはない」(建設関連の営業職)となってしまった。昨今、賃上げ闘争でストライキを行う労働組合にお目にかかることは稀だ。

 

ダンピングが起きている

少子高齢化の進展により、人手不足の時代が到来している。完全失業率は2%台に低下し、完全雇用に近い状況だ。有効求人倍率も東京都では2.0倍、全国でも1を上回る状況が続いている。

このような労働需給の逼迫した状況にありながら、なぜ給与は上がらないのか。

少なくとも1990年代までは、人手不足時には賃金は増加していた。だが、2000年に入ると、人手不足でも賃金が増加しなくなる。労働者が実際に受け取る「名目賃金」は減少に転じ、物価動向を考慮した「実質賃金」の増加率が鈍化した。

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