地方局がスゴい!「民放連賞グランプリ」が示す、そのコンテンツ力

2019年のテレビ界を振り返る(3)
碓井 広義 プロフィール

キーワードは「共感の共有」

つい最近、『水曜どうでしょう』に関する興味深い本が出版された。

広田すみれ『5人目の旅人たち―「水曜どうでしょう」と藩士コミュニティの研究』(慶應義塾大学出版会)だ。著者は気鋭の社会心理学者。「ファンはなぜこの番組にのめり込むのか」を探った、異色の研究書である。

著者がまず注目するのは、早い段階でのDVD化やネット動画を通じて、繰り返し視聴を可能にしたことだ。また番組掲示板の活用により、ファンの間の「共感」を維持してきた。

さらに著者は、この番組が持つ「身体性」を指摘する。まるで4人と一緒に旅をしているような、一種のバーチャル感を生み出す映像と音声。特に時間にしばられずに臨場感を高める編集を施したDVDは、通常のテレビ番組とは違う「体験」型の映像コンテンツとなった。

 

今回の研究は、全国のファン(「藩士」と呼ばれる)の中に、この番組を「癒し」と感じる人が多いと知ったことがきっかけだったという。特に東日本大震災の被災者を精神的に支えるアイテムとなっていた。

視聴者同士の間に生まれた「共感」の共有。それはまさに現在のソーシャルメディアでの「共有」の先駆けだったのだ。

共感の共有。それは『水曜どうでしょう』のみならず、ドラマ『チャンネルはそのまま!』にも通底していることに気づく。それは、来る2020年からのコンテンツ制作にとっても、大きなヒントとなるキーワードである。