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# 人口・少子高齢化 # マンション

日本のマンションを襲い始めた「認知症住民の激増」という大問題

管理組合の知られざる苦労

都内のあるマンションでの出来事

古い分譲マンションが超高齢化の重圧を受けている。建物と住民の「二つの老い」に歯止めがかからない。

約800万人の「団塊の世代」が2025年に一斉に75歳以上の後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上の「超高齢社会」に突入する。それに伴い、医療・介護の施設が大幅に不足し、認知症の人は2015年から25年までの10年間で525万人から730万人に激増する。こうした超高齢化がもたらす困難は「2025年問題」と総称されているが、高経年マンションはすでにその真っただ中にある。

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今春、東京都内の100戸規模のマンションで「認知症の住人」への対応が管理組合理事の間で秘かに話し合われていた。独り暮らしの認知症の高齢女性が、昼夜を問わず、マンション内外を歩き回り、あちこちで失禁してしまうのだ。あるときは他家のメールボックスから郵便物を抜きとって大騒ぎになった。

深夜、街に出てオートロックの玄関に締め出され、寒い公園で夜を明かしたこともある。朝、散歩していた人が見つけて送り届けてくれたが、女性は肺炎を起こしていた。一つ間違えれば命が危うかった。管理費と修繕積立金の滞納も続いている。

女性は「緊急連絡先」を管理組合に届けていない。親族がいるのか、天涯孤独なのか、それすらわからない。管理組合の理事たちは、額を寄せて相談していた。