視覚が敏感過ぎて、文字が消え、動く…「アーレンシンドローム」とは?

さまざまな発達障害と誤診されることも
上條 まゆみ プロフィール

カラーレンズによって症状は改善する

病気でも障害でもないとはいえ、本人にとってはつらすぎるアーレンシンドローム。実はこの症状は、感じやすい光をカラーレンズでカットすることで改善される。

 

そう、紫外線対策のためにサングラスをかけるのと同じ。たとえば、青い光を感じやすい場合は、黄色のカラーレンズ、赤い光を感じやすい場合は水色のレンズなど、補色で光を抑えることができるのだ。

このようなカラーレンズの眼鏡をかけることによって、症状を緩和することができる

熊谷さんが所属する大学の教育相談室では、それぞれの見え方に合わせたカラーレンズをフィッティングしている。レンズ作成費用はおよそ3万円。その後、自分で眼鏡屋に持ち込み、フレーム加工してもらう。

カラーレンズ眼鏡をかけると世界が変わる! こんなにもよく見えるのか、こんなにも目を開けていることが辛くないのか、という喜びの声が多く入る一方で、ひとつ大きな問題がある! 

それは、カラーレンズの色が黄色や水色、ピンクなど、サングラスとしては突飛な色になりがちだということ。不良? 変人?などと偏見の目で見られてしまうとしたらつらい。

「最近、学校では、カラーフィルム、カラーレンズ、カラーノートの使用が認められてきてはいます。一方、企業では、『診断書がないと配慮しない』というところが多いのですが、アーレンシンドロームは医学的診断名ではないことから、アーレンシンドロームを知る眼科医は少なく、診断書を書いてもらうのは難しいんです。我々が書く状況報告書は、診断書ではないために、カラーレンズの装着が認められず、会社を辞めざるをえなくなった人もいます」

熊谷さんの願いは、アーレンシンドロームの存在がもっと世に知られることで、自分がそうであるとは気づかず生きづらさを感じている人が救われること、そして、カラーレンズをつけることがごく自然なかたちで受け入れられる社会になることだ。

「日本人は『みんな同じ』を好むあまり、自分とちょっと違った存在を排除する傾向があります。でも、人それぞれ身長や体重が違うように、実は見え方も感じ方も違うのです。視力矯正用の眼鏡をかけている人があたりまえに受け入れられているのと同じように、カラーレンズをつけることも普通に受け入れてほしい。人の違いに寛容な社会になってほしいですね」

アーレンシンドロームの相談窓口はこちらです→筑波大学心理・発達教育相談室

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