視覚が敏感過ぎて、文字が消え、動く…「アーレンシンドローム」とは?

さまざまな発達障害と誤診されることも
上條 まゆみ プロフィール

蛍光灯からLEDに変わった途端、違和感を感じた

アーレンシンドロームは現在、欧米ではおよそ20〜30%程度、日本では少なくとも6%以上の割合で発症すると言われ、決して珍しい症状ではない。しかし、医学的診断名も症候群の名称もなくほとんど知られていないため、自分がそうであるとは気づかず、生きづらさを感じている人は多いと思われる。

「視覚は生まれながらにしてもっている感覚であり、他人と比較することができないため、自分の視覚特性に気づくことができないことも多いんです。見え方がほかの人と違うことになかなか気づけません。病気ではないから、眼科で診断を受けても異常は見つかりません。眼科で『眩しい』と訴えても、『白内障でもないのにそんなわけない』と言われてしまうこともあるそうです」

 

さらに、視覚が外界から取り込む情報は、感覚全体が取り込む情報の約80%という膨大な量を占める。アーレンシンドロームによる見えにくさがあると当然、必要な情報が得られにくく、日常生活に不都合を感じる場面はたくさんある。

また、文字の読み書きが困難だったり、何かをじっと見て取り組むなどの作業が苦手で集中力もなくなりがちだったりすることから、学習障害(LD)や注意欠如多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)ではないか、投げられた1つのボールが3つくらいに見えてしまい取れないことから発達性協調運動障害ではないか、などと誤診されることも少なくない。

最近、教育現場などで話題にのぼることの多い「発達障害」だが、それを疑われている子のうち何パーセントかは発達障害ではなく、アーレンシンドロームなのかもしれないのだ。

「保育園で薄暗いところを好み、いつもピアノカバーの中で遊んでいた子が、実はアーレンシンドロームだった、ということもありました。その子の場合、小学校に上がって明るい教室に座っていなければならなくなると眩しくて落ち着かず、つい立ち歩いてしまい、周囲から『気になる子』として扱われていました」

あまりの眩しさに頭痛や吐き気などの症状が出たり、疲労から鬱、慢性疲労症候群などを発症してしまったりする例もある。

白熱灯や蛍光灯に比べてエネルギー効率のいいLEDは、地球温暖化の救世主ような存在だが、このLEDによって苦しめられている人もいるという。

「職場の灯りが、蛍光灯からLEDに変わった途端、違和感を感じた、という人もいます。LEDは光の3原色のなかでも青色が強いんです。青い光を敏感に感じてしまう人には、非常に負担になるようです」

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