*クレジットのない画像は、株式会社よりそう提供
# 相続税 # 葬儀

Amazonから「お坊さん便」撤退を決めた「よりそう」の信念

異色のベンチャーが描く葬儀業界の未来
「お坊さん便」、Amazonから撤退ーー今年10月に話題になったニュースで、初めてそのサービスの存在を知ったという人も少なくはないはずだ。
ネットを通じてお坊さんを手配できるという驚きのサービスを展開しているのは創業11年目のベンチャー企業「よりそう」。なぜ、そんなサービスが生まれたのか? 同社は葬儀業界でどのような存在を目指しているのか?
異色のベンチャーの実像に、経営コンサルタントの竹内謙礼氏が迫る。

なぜ「お坊さん便」はAmazonから撤退したのか

数年前、知人の葬式があった。私は出張で行けなかったので、妻が代わりに参列してくれた。帰宅後、妻が「驚いたことがあったのよ」と改まった口調で言った。

「お葬式のお坊さん、Amazonで手配したらしいのよ」

返す言葉がなかった。Amazonは何でも売っているが、まさかお坊さんまで販売しているとは思わなかった。

 

調べてみると、いろいろな事情が見えてきた。Amazon、ひいてはネットを通じてお坊さんを手配するサービスが複数あるようだ。先の例でいえば、Amazonがお坊さんを販売しているのではなく、葬儀にお坊さんを手配する企業が、Amazonに出品しているというのが真相だった。

しかし、それでも違和感は拭えなかった。死者を弔うお坊さんを、文房具や家電製品のようにネットで扱っていいのか。葬儀に対してのリスペクトがないサービスだと思い、世知辛い世の中になったものだとため息をついた。

そして2019年10月。それらのサービスの中でも老舗の「お坊さん便」が、Amazon出品を止めたというニュースを目にした。「そりゃそうだろう」と思う反面、なぜ、止めたのか原因を知りたくなった。


拡大画像表示Amazonでの販売を停止した「お坊さん便」

どんな会社がお坊さん便を始めて、なぜ、Amazonに出品して、撤退してしまったのか――真相が知りたくなり、お坊さん便を行っている葬儀サービス会社「よりそう」(東京都品川区)に話を聞きに行った。

話を聞かせてくれたのは取締役COOの篠崎新悟さん、お坊さん手配事業部部長の小野敬明さんのお2人。単刀直入にお坊さん便のことから聞いた。

異色のサービスを始めたワケ

「もともとは、お坊さんに供養してもらう機会を逸してしまい、辛い思いをしているお客様への救済サービスだったんです」

そう説明する小野さん。しかし、お坊さんに供養してもらえないことが、そんなに辛いことなのかと疑問に思った。少しでも費用を浮かせたいと思うのであれば、お坊さんを手配しないことを考える人のほうが多いはずだ。

「お坊さんに供養してもらわないと、四十九日を迎えたときに、亡くなった人に対して何もできなくなってしまうんです。その後、一周忌、三周忌と何年にも渡って、『葬儀の時にお坊さんを手配しておけばよかった』と後悔する人が多いんです」

身内で不幸があまりないこともあって、そこまで気が回らなかった。確かにお坊さんがいなければ、仏事の開催は難しくなる。人を集めても供養がなければ様にならない。仮に集まったとしても、お坊さんが供養に立ち会わなければ、亡くなった人に対して失礼な雰囲気が漂ってしまう。