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孫正義はやっぱり面白い! 大言壮語の人間・孫正義の「なま声」公開

7000億円の赤字にめげない「本音」

作家の井上篤夫氏は、1987年に孫正義に初インタビューして以来30年余にわたって密着取材を続けている。「事業家と作家」として深い交流関係にある井上氏が、今回『孫正義 事業家の精神』を上梓した。

この作品は、井上氏が30年余の取材で得た事業家・孫正義の発した言葉や行動を「36篇のヘッドライン」としてまとめたものである。ソフトバンクグループを売り上げ9兆円企業に育て上げた風雲児・孫正義は、何を考えて、どこに行こうとしているのか――。以下、井上篤夫氏の寄稿である。

 

「起業家っていうのはクレイジーでなきゃいけない」

ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長の孫正義は、自らを「事業家」だとする。

私はかつて「起業家は事を起こし、事業家は事を成す。経営者は事を治める」と聞いた。

今回、改めてインタビューで(序章)その違いについて訊いた。

「起業家っていうのは、ある種クレイジーでなきゃいけないんですよね。起業家は、今まで存在してないことを生み出す、一般の人々が考えないことを考える」

そのクレイジーさが、「事を成す」ところまででたどり着かずに終わる場合もあると、孫は言う。

「スティーブ・ジョブズも若い頃は、クレイジーさがゆえにアップルコンピュータ(現・アップル)を追い出されたりもしたわけですよね。でも、もう一度戻ってきて立派に事を成したのです」

人のまねではなく、新しいものをクリエイトして新しいチャレンジをするのが起業家だ。業を起こす。模倣するんじゃなくて「起こす」。新しい世界観をつくり出してる。

それが起業家だと、孫は更に続ける。

アリババの創業者・馬雲(ジャック・マー)と photo by Getty Images

「だけど、それが1ビリオン(10億ドル)を超えるレベル、100万人のユーザー数を超えるようなレベルに行くまでは、本当の意味で業を起こしたことにならないです。チャレンジはしているけども、まだ十分に飛んでない。翼のレベルまで行ってない。しょせん、ありきたりな馬でしょ、いうことになるわけです」

孫がビジョン・ファンドをつくったのは、100万人のユーザーに価値を与える、しかもそれが、サステイナブル(持続可能)な事業を支援するためである。