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年金改革でパリが炎上中、日本でも改革を行えるのか?

同じく「お坊ちゃん」への反感も

国民の怒りに火がついた

12月5日、フランスで、エマニュエル・マクロン大統領の年金改革に抗議するストライキが行われ、その結果、各地で交通機関が混乱し、学校が閉鎖された。

また、内務省の発表では、フランスの100以上の都市で計80万人以上が抗議デモに参加した。フランス労働総同盟(CGT)は、パリで25万人が参加したほか、全体では150万人に上るとしている。

 

フランス民衆の怒りは収まらず、12月10日には、交通機関のストライキが6日目に突入し、市民の移動が困難となっている。市民達は、不便を感じながらもこのストライキに理解を示しており、長期化する可能性がある。当日、34万人規模のデモも行われ、5日より参加者が減少してはいるものの収束には程遠いのが現状だ。

そして、12月11日には、フィリップ首相が、年金改革について、早期の黒字化計画を断念するなどの譲歩案を発表した。

しかし、国鉄労組は12日もストを継続すると宣言。混乱は収まる気配がない。 

フランスでは1995年に、アラン・ジュぺ内閣による年金改革をめぐって大規模なストライキが起き、3週間にわたって交通機関がまひしたことがある。

当然、マクロン大統領の頭の中にはこの騒動のことがよぎったであろう(1977年12月21日生まれのマクロン氏は、まだ10代であったが……)。マクロン政権はこの二の舞にならないよう、事態の緩和に努めてはいるが、後述するようにフランス市民から嫌われているマクロン大統領にとってはかなりの難題だ。

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当初「燃料税に対する反対運動」だとされていたジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)運動が、実はフランスの政治・社会体制、さらには政治的にはフランスが主導(経済的にはドイツ)しているEUの機能不全に対する民衆の怒りによるものだということは、2018年12月17日の記事「パリから始まる反グローバリズムのうねりは『世界革命』に移行するか」で述べた。

それからおおよそ1年が経って、フランスが欧州の「火薬庫」になりつつあるということが明らかになりつつある。

英国はもともとEUのシステムに懐疑的で、ユーロやシェンゲン協定に加盟していなかったから、ブリグジットの影響はその分少ないが、EUの政治的中核であるフランスの混乱は、EU崩壊へとつながる可能性さえある。

さらに、ストライキの原因となった「年金改革」は、日本人にとっても他人事ではない。