注目の集まる場所だからこそ

さて、雅子さまのこれまでのファッションを振り返ってみると、皇室の伝統と未来をしっかりとお考えになって、その時々にふさわしいものを選ばれてきたようです。雅子さまはなぜ、令和元年のお誕生日に、ゴールドのスーツを選ばれたのでしょうか?

ゴールドは本来、金属の色なので一般的な色とは異なりますが、「ゴールデンイエロー」「黄金色」といった色名があるように、イエローをさすこともあります。

1993年の婚約会見でお召しになったレモンイエロー(photo by gettyimages)

イエローは人の目を引きつける誘目性が高い色。雅子さまは、ご自身や天皇陛下に注目が集まる場面で、積極的にイエローをお召しになってきたようです。

たとえば、1993年1月19日の婚約会見では、明るいレモンイエローのワンピースをお召しになりました。2019年5月4日、天皇陛下の即位をお祝いする一般参賀では、若葉の季節に映える鮮やかなカナリアイエローのドレスで、新皇后として初めて国民の前にお出ましになりました。

御即位後初の一般参賀(photo by gettyimages)

四季の彩りをまとう

また、「季節感」も重要な点です。四季の移り変わりとともに、天気や気温が大きく変動する日本では、季節ごとに衣類をはじめとしたさまざまな持ち物を替える「衣替え」という習慣があります。

平安時代の貴族たちは、衣替えの習慣に四季の彩りを取り入れて、洗練された色づかいを楽しみました。春は、梅に桃、そして、桜花爛漫の彩り、空蒼く、緑あふれる夏の彩り、野山が錦繍に彩られる秋、空気まで凍てつくような清浄な冬の彩り……というように、四季折々の色彩を着物の配色に取り入れて、センスを競っていたと言われます。

雅子さまがお召しになるスーツやドレスなどは、「かさねの色目」と呼ばれる平安時代の着物の配色と違って、ひとつの色を選んで作られていますが、ひとつひとつの色にも季節感があるのです。