〔PHOTO〕iStock

双子、三つ子増加のウラで…胎児減らす「減胎手術」の過酷すぎる現実

いまだ明確なルールもない

減胎手術とは何か

「たった一人の子どもでさえ、この腕に抱くことはできませんでした……。私があのクリニックを選ばなければ、もっと不妊治療に関して知識を持っていればこんな悲しい結末で終わることはなかったと自責の念が消えることはありません」

そう声を詰まらせながら話すのは、不妊治療の影響で5人の子供を妊娠し、母体への負担を考え、胎児の数をお腹の中で減らす「減胎手術」を行ったAさんだ。

減胎手術自体は30年ほど前から行われてきたが、1986年に日本で初めて減胎手術をおこなった医師は、当初は堕胎罪に触れる恐れがあると産婦人科界からも非難を浴びた。2000年以降には状況が変わり、産婦人科界も減胎手術の必要性を認めたものの、いまだに法的な扱いは定義されていない。なぜ減胎手術が行われ、どのように問題になっているのだろうか。

〔PHOTO〕iStock
 

Aさんのケースを見てみよう。2014年、Aさん夫妻にはすでに子どもがいたが、なかなか第二子に恵まれず、不妊治療に臨むことを決意した。ドクターから勧められたのが、排卵誘発剤によって排卵を促し、人工授精をするというもの。Aさんはとくに疑問を抱くこともなく、ドクターの指示通り不妊治療を行うことにした。

減胎手術の大元にあるのは、こうした不妊治療だ。多胎は自然発生もするが、不妊治療は多胎妊娠を誘発しやすいのである。たとえば上述した排卵誘発剤とは、注射や薬によって、卵子を排卵するよう促すものである。なかなか排卵しにくい場合や、体外受精の際に多く採卵するために用いられる。排卵される卵子の数は5個を超えることも少なくなく、10個に達することもある。