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北朝鮮暴発・米中対立・ブレグジット…日本だけが「平和ボケ」している

2019年の「激動」は来年へ持ち越される

イギリス「保守党圧勝」の意味

先週は、9日に臨時国会が閉じた後、11日に国連安全保障理事会で北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐる会合があり、12日にイギリス総選挙、13日に米中貿易交渉で第一段階合意があった。

日本以外の世界情勢がめまぐるしく変化している中、日本では、国会の中心議題が「桜を見る会」、また筆者のまわりでは国会議員による人権侵害という「平和ボケ」に終始していたのには呆れてしまった。これらについては、10月21日から11月18日までの本コラムをご覧いただきたい。

世界経済の先行き不安がある中、日本でも景気対策が急がれており、筆者は臨時国会での補正予算を期待していたが、それもかなわなかった。日本に必要な景気対策については、先週の本コラムを参照してほしい。

今週は、先週おきた国際情勢の大きな変化を踏まえて、日本の経済と安全保障の先行きを考えてみたい。

 

まず、12日のイギリス総選挙からはじめよう。既に報道されているが、来年1月31日までのブレグジットを目指す、ボリス・ジョンソン首相が率いる保守党が圧勝した。

650議席中、保守党365議席(47増)、労働党203議席(59減)、スコットランド国民党(SNP)48議席(13増)、自由民主党11議席(1減)、北アイルランドの民主統一党(DUP)8議席(2減)、北アイルランドのシン・フェイン7議席(増減なし)、ウェールズのプライド・カムリ4議席(同)、緑の党1議席(同)、北アイルランド同盟党1議席(1増)、北アイルランドの社会民主労働党(SDLP)が2議席(2増)だった。

保守党は、全野党を合わせた議席より80議席多く、1987年以来の大勝だ。一方、労働党は1935年以来の大敗を喫した。

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もっとも、保守党はEU離脱派が優勢な地域での得票率は大きく伸ばしているが、EU離脱が劣勢な地域では得票率を若干減らしている。差し引きの得票率は伸びており、小選挙区制の特徴から大勝したわけだ。

この選挙結果を筆者なりに解釈すると、保守党は「EU離脱」という単純明快なメッセージが支持を増やしたのに対し、労働党は「もう一度国民投票を」というスローガンでまどろっこしいのに加えて、国民保健サービス(NHS)の改革が左により過ぎたのを嫌われ、中道左派支持者からの支持を失ったのだろう。

ただし、スコットランド国民党(SNP)は支持を伸ばしている。イギリスがEU離脱を決めても、スコットランドはEU残留に向けて住民投票をするかまえである。イギリスにとって来年は一難去ってまた一難の予感がする。

そもそも、イギリス経済にとってEU離脱はマイナスの効果しかない。今回の総選挙は、EU離脱のマイナス効果を「ほぼ確定」させたことになる。

イギリスの国立経済社会研究所(NIESR)は、イギリスがEU離脱した場合、離脱しない場合に比べて年間700億ポンド(約9兆8000億円)の経済損失が見込まれるとする報告書を発表している。この報告書では、今後のEUその他との自由貿易協定はあまり考慮されていないが、それでも、欧州経済にとっていい話ではない。

イギリスは、これからEUとの包括的な自由貿易協定を結ぶだろうし、アメリカとの包括的な自由貿易も加速するだろう。これに、日本も入ってゆく必要が出るはずだ。というのは、包括的自由貿易協定は、安全保障と密接に関係するからだ。

 
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