「明日は晴れるかな?」その疑問、「偏微分方程式」でスッキリ解決!

世の中のしくみを解き明かす応用数学
斎藤 恭一 プロフィール

4つの時空座標(t, x, y, z)のうち1つだけに限って、たとえば t だけを選んで微小に分けて作った方程式を常微分方程式と呼びます。他方、4つの時空座標(t, x, y, z)のうち、2つ以上に対して微小に分けて作った方程式を偏微分方程式と呼びます。

つまり、微小に分ける成分が1つだけか、それ以上かという違いです。

「偏微分方程式は難しそう」という偏見を持つ人が多いのは、この名前の付け方に問題があるような気がしてなりません。

“ordinary”には「並の」「平凡な」という意味があります。座標が一つだけなら、他の部分(part)を感じませんから「並」なのです。できあがってくる微分方程式の見た目は「平凡」です。

誰が初めに“partial”を「偏」と日本語に訳したのか私は知りません。私なら「部分」と訳したでしょう。ついでに“ordinary”は「並」と訳したでしょう。

そうなると、“ordinary differential equation”と“partial differential equation”は、それぞれ「並微分方程式」と「部分微分方程式」となり、もっと私たちに親しみやすくなっていたと思います。

もっとも複雑な偏微分方程式は、時空座標(t, x, y, z)を4つすべて選んで、それを微小に分けて作った方程式になります。見てくれは確かに複雑になりますが、それが現実世界に近いのです。

たとえば、先ほどの私の位置の例で言えば、時間 t だけが進んで私の位置(x, y, z)がいつまでも微動だにしていなかったら、私が死んでいることを意味します。そういう例は、現実世界ではほとんどありえません。

寝てることなら考えられるかも? Photo by Getty Images
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言葉から受ける印象とは違って、偏(部分)微分方程式のほうが常(並)微分方程式より普通の現象を表せるのです。

天気予報にも偏微分が!

偏微分方程式を作るときには、「収支」を考えることが大切です。まずわかりやすく、お金の収支で考えてみましょう。

ある学生が母親から今月は5万円の仕送りをもらったとします。その学生さんは、高校の友達が結婚することになったので、結婚式のお祝いに備えて1万円貯金しました。

それなのに、ズボンのポケットに穴が開いていて5千円札を落とし失くしてしまいました。そのためその月に使えるお金は、3万5千円となりました。

 

この話を式で表すと、

5万円 - 1万円 - 5千円 = 3万5千円

となります。

この左辺3項と右辺1項、あわせて4項が収支式を構成します。

これらの項を一般名(英語名)で言うと、順に、入力(input)項、蓄積(accumulation)項、消失(sink)項、そして出力(output)項です。お金の収支式が作れました。

この考えに従って、物質、熱、そして運動量の収支をとります。