【イギリス総選挙】保守党圧勝も…「EU離脱問題」はまだ終わらない

「まだ離脱していないの?」と聞かれて
小林 恭子 プロフィール

ところが、EU側は「通商交渉は、後」で、「まず、離脱条件の交渉をしよう」と迫ってきた。

「EU市民の権利を保障する」、「一定の精算金を払う」、継続してEU加盟国であるアイルランド共和国と地続きとなる「英領北アイルランドの位置付け」の3点をまずは話し合い、「満足のいく進展が見られたら」、第2段階、つまりは通商交渉に進みましょう、と。

EU加盟28ヵ国の中で、イギリス対その他の27ヵ国の交渉である。イギリスは、「まずは離脱条件を決めてから」というEU側の交渉を呑まざるを得なくなった。

 

決められない政治家たち

そこで、議会民主制をとるイギリスでは、まずは議会内の意思統一が必要となった。どんな離脱条件にしたらいいのか?

叩き台を作ったのは、国民投票の結果が出た直後に辞任表明をしたデービッド・キャメロン首相の後を継いだ、イギリスの2番目の女性首相テリーザ・メイ氏。

メイ氏は元々は残留派だったが、保守党内の強硬離脱派(きっぱりとEUから離脱することを望む人々)を満足させるために、「イギリスはEUの関税同盟からも、単一市場からも抜け出ます」と宣言し、「離脱をなんとしてもやり遂げます」「離脱は離脱よ(Brexit is Brexit)!」を連発した。

EU側と交渉して「離脱協定案」をまとめ、これを今年1月に下院に法案として出したところ、大差で否決されてしまった。当初の離脱予定日3月29日は、その後、何度も延長された。