イージス・アショアに町を滅ぼされる…山口県阿武町の住民の「怒り」

現地ルポで見えた、あまりの理不尽さ
半田 滋 プロフィール

仮に防衛省の担当者が実際に阿武町に入り、西台が障害物のように立ちふさがる地形を見ていたとすれば、果たしてむつみ演習場を「適地」と判断しただろうか。

宮内さんは「山口県には日本海のあちこちに無人島がある。なぜそちらがイージス・アショアの候補地にならなかったのか」といぶかる。

 

ドクターヘリの運航に影響

まともな調査が行われなかった疑いは、 西台の頂上にラジコン飛行機の滑走路があることからもうかがえる。滑走路は急患輸送のためのドクターヘリの離発着場を兼ねており、ドクターヘリにレーダー波が当たれば、計器類が狂い、墜落の危険を招きかねない。

防衛省は今年5月にあった地元説明会で「西台ラジコン飛行場の運用のあり方については今後、山口県などと相談する」として、事実上、ドクターヘリの運航に影響が出ることを認めた。

萩市消防本部によると、阿武町へのドクターヘリの出動は過去5年間で13件あり、うち3件は西台ラジコン飛行場を使用した。阿武町には他に2カ所、ドクターヘリの発着場があり、必要に応じて使い分けている。西台ラジコン飛行場の運用見直しは、住民の生命にかかわる重大な問題ではないだろうか。

西台の頂上にあるラジコン飛行場。ドクターヘリの発着場を兼ねている

それだけではない。イージス・アショアの配備予定地に近い東台近くには3軒の農家が作る白菜畑がある。そのうちの一軒、白松博之さんの白菜畑は東台から約200メートルのところに位置している。

防衛省は前出の地元説明会で「レーダーの保安距離は半径230メートルに設定し、一般の方々が立ち入らないように制限する」と説明した。裏を返せば、レーダーから半径230メートル以内は人体への影響があり、危険だということだ。