2019.12.15
# 映画

『アナ雪2』エルサの「スピリチュアルな自己実現」の奇妙さを考える

この展開は、面白くてポジティブなのか
北村 紗衣 プロフィール

まず困ってしまうのは、エルサとアナの家族の一員である雪だるまのオラフがいつのまにかホメオパシーにハマっていた、ということだ。

ホメオパシーというのは18世紀の末頃に生まれた代替医療の一種で、症状Aに悩んでいる人に対して、健康な人がたくさん摂取すると症状Aを引き起こすようなものをものすごく希釈して与える、というような治療法だ。これだけだとわかりにくいが、非常にざっくりした例をあげると、たとえばトウガラシをたくさん食べると口の中がひりひりすることがあるが、口の中が痛くて困っている人にはものすごく薄めたトウガラシ水を投与すればよい、というような考え方だ。

 

実際のホメオパシーはもう少し複雑なプロセスで、ほとんど溶かした物質が残らなくなるくらいまで水で希釈し、砂糖玉にしみこませたものを薬として用いる(詳しくは日本医学会の記事を参考にしてほしい)。瀉血などの危険な行為がやみくもに行われていた18世紀の医療を考えると、ホメオパシーはそれよりは見込みのありそうな治療法だったが、現在では全く医学的根拠のない、気休めにしかならないものと見なされている。

ホメオパシーでよく用いられる砂糖玉〔PHOTO〕iStock

それどころか、通常の治療ではなくホメオパシーで対処しようとしたために子供が死亡する事件も発生している。健康被害を引き起こす可能性のある代替医療を行うことは、医療倫理に反しているというのが現代の専門家に共有された見方だ。ホメオパシーは無害な気休めではすまない健康被害を引き起こしている。

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