2019.12.15
# 映画

『アナ雪2』エルサの「スピリチュアルな自己実現」の奇妙さを考える

この展開は、面白くてポジティブなのか
北村 紗衣 プロフィール

エルサをレズビアンにしなかったという点でディズニーは保守的と言えるかもしれないが、一方で恋愛をエルサ退位の理由にしなかったという点では、ディズニーはだいぶ古典的なハリウッド映画から離れている。

自分に正直に生きるために退位する女王の映画としては、グレタ・ガルボ主演で17世紀に実在したスウェーデン女王クリスチナを描いた『クリスチナ女王』(1933)という先行作があるが、この作品ではクリスチナはバイセクシュアルの男装の麗人であり、最初は侍女に恋をしていたものの裏切られ、スペインから来た男と情熱的に愛し合い、彼と一緒になって旅に出るために退位を決意する。

女が仕事をやめるきっかけとして大恋愛を持ってくるのはやりやすいが、陳腐でもある。生き甲斐のため退位する、ちょっと気難しい北国の女王を描いた『アナと雪の女王2』は『クリスチナ女王』と似ているが、かなりアップデートされていると言える。

 

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では、エルサが自分らしく生きるため、より女王にふさわしい社交性を持った妹のアナに譲位して宮廷を出るという『アナと雪の女王2』は、現代女性にとって理想的でポジティヴな自己実現を描いた作品と言えるのだろうか? 著者はそうは思わない。

というのも、この映画におけるエルサの自己実現というのは、信仰によってもたらされるからだ。別に信仰が重要な役割を果たすのは悪いことではないが、この作品におけるスピリチュアルなことがらの描き方はけっこう奇妙である。

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