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「意味のないクソ仕事」が消えない理由を、進化心理学で考える

チンパンジーにも「クソ仕事」がある

「合理的経済人」の限界

先日、現代ビジネスのこちらの記事がビジネスマンのあいだで話題を呼んだ。

われわれが暮らす21世紀の現代社会では、俗に『BullShitJobs』(=どうでもいい仕事、クソ仕事)と呼ばれる、やっている本人ですら「必要ない」と感じるような仕事が増え続けている。

 

経済学の巨人ケインズが1930年に「技術の進歩によって、100年後(2030年)には週15時間(だけ)働く時代になる」と予想したにもかかわらず、実際にはまるでそうなっていない。むしろ、以前には存在しなかった「クソ仕事」(=仕事のための仕事)が次々に登場している、という話だ。

いきなりだが、ここでビッグ・クエスチョンを投げかけたい。経済学に基づくさまざまな施策は、なぜ「意味のないクソ仕事」を減らせなかったのか?

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──完璧に答えるのは難しいが、ここでは一つの仮説を提示したい。筆者の見立てによれば、その答えは「経済学は、生物学的ファクターを考慮していなかったから」である。

人間は動物だ。経済学はホモ=エコノミクス(合理的経済人)を人間像(モデル)として仮定する。しかし実際にはそうではなく、われわれは感情や生物学的動機に振り回されるホモ=サピエンスである。

本稿では「人間はサピエンスである」という前提を導入して、「BullShitJobs」(=意味のないクソ仕事) が生まれるロジックを探ってみよう。進化心理学(Evolutionary psychology)が分析ツールとして役に立つだろう。