とりわけ日本人にとって、米は弥生時代からの絶対的な主食。私たちは、米を食べることの効能を、知らず知らずのうちに享受してきた。
「お米に含まれるでんぷんには、『レジスタントスターチ』という成分があります。この成分が大腸に届くと、食物繊維のように腸内環境を改善してくれるのです。
レジスタントスターチは大腸で短鎖脂肪酸も生み出します。この脂肪酸が大腸細胞のエネルギー源になり、細胞の分化を促します。要するに、お米を食べることで、健康の要である腸が元気になるのです」(前出・早川氏)
60歳を過ぎた人の中には、食事の際に「量が食べられないから」と米に手をつけず、おかずだけを食べる人も多い。だが、脂っこいものや味の濃いもの単体だと、消化に時間がかかってしまう。胃腸機能が低下しているならば、なおのことだ。
胃腸が消化のために疲労すると回復までに時間がかかり、お腹が空かなくなる。すると食事の総摂取量が減り、必然的に低栄養状態に陥る。
「お米は他の食べ物と比べても、消化の負担が少ない穀物です。消化されやすく胃もたれしないので、身体にとって自然な形で栄養が行きわたります。
おかずと一緒に食べると、その消化吸収も助けてくれる。食後にも胃がしっかり休まるので余裕ができ、いいサイクルでお腹が減ります。3食ちゃんと食べることができて、低栄養状態とは無縁な身体になります。
さらにお米の効能として見逃せないのが、免疫機能の改善です。低栄養が続くと低体温になり、免疫機能も低下してしまう。それをキッカケに、様々な病気に冒されてしまうのです。
その点、お米を食べると体温が上昇しやすく、免疫機能が上がる。加えて、体温上昇によって関節痛なども緩和します。私自身、これまで多くの方々の食生活を見てきました。現場の実感として、やはりお米を食べる人ほど、健康で元気です」(日本健康食育協会代表理事で管理栄養士の柏原ゆきよ氏)