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65歳以上の死亡リスクが急上昇する「BMIパラドックス」とは何か

「やせすぎ」が危ない理由

死期を早めることになる

「医学的な見地からみても、60歳を超えてから体重を落とそうとするのはまったくナンセンスです。自ら死期を早めていると言っても過言ではありません。

事実、'10年に文科省の助成金によって行われた、65歳から79歳までの日本人2万7000人を追跡調査した研究があります。そこでは、BMIが20を下回った途端に死亡リスクが急上昇するというデータが示されています。これは『BMIは低いほうがいい』という従来の認識とは逆の結果です。私たちは、この現象を『BMIパラドックス』と呼んでいます」(ふくろうクリニック等々力院長の山口潔氏)

やせている人は病気にかかりやすく、死亡リスクが高い。それだけではなく、一度病に冒されると、その回復さえもままならない。病気になりやすいうえに治りにくいとは、踏んだり蹴ったり以外のなにものでもない。

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なぜ、そんな悲惨な状態に陥ってしまうのか。それはなによりも免疫力の低下が原因だ。

人は一般的に20代で免疫力のピークを迎え、それからはずっと下降線を辿っていくもの。免疫力のピーク時を100%とすると、40歳前後で50%に、70歳を超えるころには10%にまで下がってしまう。

 

さらに、60歳を過ぎてだんだん口腔の筋力が弱まれば痰を出す力もおぼつかなくなり、食べ物がうまく飲み込めなくなってくる。咀嚼も満足にできないのだから食べることがつらく、まるで「苦行」のようになってしまう。摂取カロリーは著しく低下し、みるみるうちにやせていく。すると免疫力はさらに低下して新たな病気にかかる。負のスパイラルだ。

身体機能の低下と体重減少。この状態は一般的に「フレイル」と呼ばれている。

これは'14年、日本老年医学会が提唱した概念で、ひとりの人が元気に生活を送れている状態から寝たきりになってしまうまでの過渡期を指している。まさにこの時期に多くの人は体重が激減し、ありとあらゆる病気のリスクに晒される。