神田松之丞はなぜ天才? その語りに「ぐんぐん引き込まれる」ワケ

講談のおもしろさを絵本に閉じ込める

11月26日、講談社創業110周年記念企画「講談えほん」シリーズの第1弾として、『宮本武蔵 山田真龍軒』『西行 鼓ヶ滝』『大岡越前 しばられ地蔵』の3作品が同時刊行されました。

この「講談えほん」が刊行早々、話題になっています。それはなんといっても、この企画の監修者がチケットの取れない講談師・神田松之丞さん、だから。

注目度抜群の松之丞氏の新しい取り組みとして、刊行間もない12月1日には、本館講堂で「講談えほんの会」と銘打ったイベントを開催されました。

その会で松之丞さんと対談したのが、この「講談えほん」のすべての文章を担当した作家の石崎洋司さん。その石崎さんに、「講談えほん」と講談の魅力について編集担当者が聞いてみました。

「講談えほんの会」で対談する神田松之丞(右)さんと石崎洋司さん

神田松之丞だからこそ実現した企画

――去年、「講談えほん」シリーズをやるので文章を、とお願いしたとき、「絵本で講談をやる」って率直にどう思いましたか?

石崎:まず思ったのは「それって売れるのかな?」。落語の絵本は他社さんからもずいぶん出ているし、講談社さんでも、高田文夫先生が監修された『はじめての落語101』っていうぶ厚くて、値の張る本がロングセラーになってる。

「寿限無」なんか、テレビの「にほんごであそぼ」のおかげで、あの長い名前をそらんじられる子どもがたくさんいる。そんなふうに、子どもの中に落語はかなり浸透しつつあるけれど、はたして講談はどうだろう、成立するのかな、と最初は危惧してました。

 

ですが、この企画がスタートした2018年5月頃って、松之丞さんが注目を集めはじめたころで、そんななか、フジテレビのENGEIグランドスラムに登場した松之丞さんを見たんです。

人気お笑い芸人めあての若い女性たち相手にやったのが、今回刊行された中にも入っている「山田真龍軒(寛永宮本武蔵伝より)」。ドッカンドッカン受けてました。そのとき、「あ、これはイケるかもしれない」って思ったんです。これ、子どもにウケるんじゃないかなって