# 井上尚弥 # ボクシング

井上尚弥が初めて明かす「第2ラウンドの戦い方」

60秒間の駆け引きが勝敗を決める
2019年11月7日、ノニト・ドネアとの死闘に勝利を収め、WBSS制覇を果たしたWBA、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥。井上は日々、何を考え、また何を考えていないのかーー。
王者の思考に迫った著書『勝ちスイッチ』から、その一部を紹介する短期連載。最終回は、井上はどう「第2ラウンド」を戦っているのか?

1分間での作戦会議

たかが60秒、されど60秒。3分1ラウンドで進行するボクシングには、ラウンドとラウンドの間にインターバルと呼ばれる1分間の休憩がある。

 

コーナーに戻って出された椅子に座ると、F1のピットインのように、その限られた1分間で、スタッフが四方から総出で緊急メンテナンスを行ってくれる。

タオルで汗を拭き、 うがい、水分補給、取れたワセリンの塗り直し、もし被弾して顔が腫れていれば、特製の冷却器具や氷嚢で患部を急冷し、もしカットでもしていれば、血をぬぐい、 コミッショナーの許可を得た薬を塗り込んで止血作業をする。

そして最も重要なのが、この1分間での作戦会議である。

コーナーに戻るとチーフトレーナーの父が真正面に座り、トランクスを緩めながら深呼吸をして呼吸を整える。全身に溜まった乳酸を消し体力を回復させると 同時にアドバイスが飛ぶ。

たいていの場合、冷静に、その一言一言が頭に入る。

「集中しろ」

ここ最近は、早期KOが多いため、インターバルの時間が少なくてあまり思い出せないでいるのだが、メンタル面の話が多い。

もしラウンドを戦うとすれば、11回のインターバルがある。実は、僕は1ラウンドが終わった後の最初の1分間のインターバルが大嫌いだ。ある種の恐怖感に襲われる。

なぜならボクシングで最も怖いラウンドが2ラウンドなのである。

関連記事