追悼・梅宮辰夫さん、生前語っていた「ヤクザ映画への熱い愛」

健さん、文ちゃんと過ごした思い出
現代ビジネス編集部

梅宮 実録路線の幕開けを告げたのが、’73年から’74年に公開された深作欣二監督による『仁義なき戦い』シリーズだった。

松方 主人公は広島・呉のヤクザ広能昌三。新東宝、松竹と渡り歩いていた文ちゃんは、この作品で一躍大スターになりました。

梅宮 文ちゃんの持つ屈折感やニヒルな面が広能役にぴったりだった。

松方 この作品の公開当時、文ちゃんのモテ方は尋常じゃなかったですよ。どのスナック、クラブでもホステスが群がった。

ところが文ちゃんは酒が好きだったから深酔いして寝てしまう。結局、女性をお持ち帰りするのは下戸の山城新伍というオチで(笑)。

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「昭和残俠伝」当時の梅宮さん〔PHOTO〕講談社写真部
 

ヤクザが撮影所に乗り込んできた

梅宮さんの代表作は、何と言っても、この対談でも登場する『仁義なき戦い』シリーズ。同シリーズは実話をもとにしたいわゆる「実録物」だが、梅宮さんはそれゆえのトラブルにも困らせられたこともあった。当時の思い出をこう振り返っていた。

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梅宮 俺が『仁義なき戦い』の第1作で演じたのは、呉の暴力団・土居組で若頭を務める若杉寛。モデルとなったヤクザは実在し、その人物はベビーフェイスの武闘派で、「悪魔のキューピー」と恐れられていたそうだよ。劇中、若杉は警官に撃たれて死んでしまう。

松方 モデルとなったヤクザも実際に警官に射殺されたんですよね。

梅宮 その身内を名乗るヤクザが京都の撮影所に乗り込んできて、「オジキはそんな言葉は口にしなかった」と文句を言われた時は参ったな。

松方 実録路線では避けて通れないトラブルだ。

梅宮 俺に言われても困るよな。俺は笠原和夫さんの脚本通りにセリフを言っているだけなんだから。結局、深作監督と相談し、とにかく格好良く演じるよう心がけた。そうすれば彼らは満足してくれると思ったから。

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