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【研究結果】本当に何かを習得したいなら、学習ではなく〇〇が効果的

英語学習の科学
中田 達也 プロフィール

この実験結果は、あるテキストの内容を記憶に定着させたい場合、「英文を繰り返し読む」(= 繰り返し学習)よりも、「英文の内容を繰り返し思い出す」(= 繰り返しテスト)方が効果的であることを示唆しています。すなわち、英文の内容を思い出すというテスト自体に学習効果があるのです。これは「テスト効果」(testing effect)と呼ばれる現象です。

ロディガー教授らの研究結果で興味深いのは、繰り返しテスト条件ではテキストを読んだ回数は最も少なかったのに、1週間後に一番高い記憶保持に結びついた、ということです。

彼らの研究では、3つの条件でそれぞれ英文テキストを何回読んだかを参加者に自己申告してもらいました。その結果、(1)繰り返し学習条件では平均14.2回、(2)テスト条件では10.3回、(3)繰り返しテスト条件では3.4回英文を読んでいました。

英文を読んだ回数では(1)繰り返し学習条件の方が4倍以上多かったにもかかわらず、1週間後の保持率は(3)繰り返しテスト条件の方が1.5倍以上高かったという結果は、示唆に富んでいます。

例えば、ビジネスや法律などの専門知識を習得する際には、書籍を何回も繰り返し読むのではなく、書籍を見ずにその内容を思い出そうとする方が効果的であると考えられます。

 

学習者は「テスト効果」に気づいていない

ロディガー教授とカーピキ教授が行った研究でもう一つ興味深い点は、テスト条件の方が効果的であることに、学習者は気がついていなかった、ということです。

彼らの実験では、3つの条件のいずれかで学習した後に、「今読んだ英文の内容を、1週間後にどのくらい覚えていると思いますか?」と質問され、7段階(1: あまり良く覚えていないだろう、7: とても良く覚えているだろう)で答えることが求められました。

学習者の回答は、7段階中で(1)繰り返し学習条件が4.8、(2)テスト条件では4.2、(3)繰り返しテスト条件では4.0という結果になりました。

すなわち、実際の保持率は(3)繰り返しテスト条件が最も高かったにもかかわらず、記憶保持にはあまり効果的でないだろうと多くの学習者は感じていました。一方で、(1)繰り返し学習条件は実際の保持率は一番低かったのですが、記憶保持に一番効果的であろうと学習者は錯覚していました。

(1)繰り返し学習条件の方が効果的だと学習者が錯覚してしまったのは、この条件では合計で14.2回もテキストを読むことができたからでしょう。英文を何度も繰り返し読んでいるうちに内容を理解したつもりになり、記憶保持を過大評価してしまったのかもしれません。

一方で、(3)繰り返しテスト条件ではテキストを3.4回読んだだけで、その後は英文を見ずに、その内容を思い出して書くことが求められました。英文を読まずに内容を思い出すという活動を行ったことで、テキストの内容を実はあまり理解していなかったことに学習者が気づき、1週間後の保持率をより現実的に見積もったのだと考えられます。