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MBAは時代遅れ!いまこそビジネスマンに「感性」が求められる理由

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「2020年代、70歳雇用が実現し、年功型賃金も崩壊、やがて日本から〝定年〟が消滅する」――『定年消滅時代をどう生きるか』著者で経営アドバイザーの中原圭介氏はこう指摘します。では、これからの時代を戦っていくための能力は、どう身につければいいのでしょうか。

MBAの陥穽と感性の重要性

近年のアメリカのビジネスシーンで顕著なのは、求められる能力として感性が注目され始めてきているということです。人々の価値観が多様化するデジタル社会では、ビジネスに携わる人材にも「理論から感性へ」、「左脳から右脳へ」のシフトが重要だと認識されてきているのです。感性が磨かれた人材を採用したほうが、企業の多品種少量生産の方向性や差別化のための戦略には合っているというわけです。

 

その証左として、アメリカではMBAプログラムの志願者数が2018年までで4年連続で減少しています。MBAの理論から導かれる答えは基本的にひとつということが多いので、同じ答えに基づいて戦略を練る企業が増えれば増えるほど、企業のビジネスは陳腐化し、多様化や差別化の手段を失ってしまうという問題が出てきているのです。

デジタルの分野で日本のトップを突き進む日立製作所の東原敏昭CEOですら、新しい価値を生み出すためには、これまで以上に感性が磨かれた人材が欠かせないと言い始めています。歴史、文化、芸術など人文系の学問や知見を幅広く学び、感性を磨くことが何よりも大事であると強調しているのです。

日本でもデジタル技術に強い企業が次々と感性というキーワードを口に出し始めています。感性は答えが見つからない問題だけでなく、問題を見つける能力である認知能力をも高めてくれるはずです。

10年ほど前であれば、理系の学問は経済や社会に役に立つが、文系の学問は何の役にも立たないといわれていました。実のところ、このような時代錯誤的な認識が今まで日本企業の足かせになっていたのでしょう。

個々の商品・サービスの価値というのは、私たちがそれらに主観的な価値をどれだけ感じることができるのかで決まります。文系と理系の知見を兼ね備えたハイブリッド人材が重宝がられると申し上げたのは、価値の創造は文系の学問や感性が得意とするところであるからです。

人の五感はアナログの機能しか持っていないので、人がデジタル情報を認識するためには、デジタル情報をアナログ情報に変換する必要があります。考える力を鍛えるにしても、スキルを身に付けるにしても、その習得レベルを左右するのはアナログの機能の優劣ではないかと考えています。

私たちは日常生活が便利になりすぎたデメリットを克服するために、スマートフォンなどのIT機器から意識的に離れたうえで、自ら物事を考える機会や感性を磨く時間をいっそう増やしていくべきでしょう【下図】。

IT機器に触れない、使わない時間をつくる効用
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