ミサイルの発射を視察する金正恩委員長の様子を伝える韓国のニュース映像(photo by gettyimages)

北朝鮮はもう暴発寸前、いよいよ金正恩は追い詰められた

ミサイル発射に続いて各軍の示威行動も

11月に入って、空軍軍用機部隊の大規模な展示演習、精鋭落下傘部隊の降下訓練、黄海上の南北境界線付近での砲兵部隊による実弾射撃演習、短距離弾道ミサイルの発射試験と、立て続けに北朝鮮による軍事的示威行動が確認されている。

そこには、「われわれはいつでも戦争を始める準備はできている」という金正恩朝鮮労働党委員長のメッセージがこめられているように見える。6月にはトランプ大統領と固い握手をかわしていた金正恩朝鮮労働党委員長は、なぜここまで対外的強硬姿勢をとるようになったのだろうか。

そこには、とうとうにっちもさっちもいかないところまで追い込まれた金委員長の状況が垣間見えるという。

 

最近の北朝鮮によるミサイル発射

北朝鮮は、11月28日午後5時ころ、今年に入って(5月以降)13回目となる短距離弾道ミサイルの発射試験を行った。

今回は、北朝鮮の報道などから10月に引き続いて「超大型放射砲(超大型多連装ロケット弾)」の発射であったと見られ、韓国合同参謀本部の発表によると、発射された飛翔体の飛距離は最大約380km、高度は97kmに達したとのことである。これは、通常軌道で最大射程を企図した発射形態によるものと考えられる。

これに対し、わが国政府は、この超大型多連装ロケット弾について、北朝鮮がたとえ(超大型)放射砲といえども、実質的にはこれが短距離弾道ミサイルと同等の性能を有していると評価されることから、(短距離)弾道ミサイルの発射と断定し、国連安保理決議違反であるとして北朝鮮を非難した。これについては、欧州のNATO加盟国なども同様の見解である。

今回発射したこの超大型多連装ロケット弾については、8月24日に初確認されて以降、月に1回(9月10日、10月31日、11月28日)のペースで発射されており、今回は4回目の発射であった。

このうち、9月の発射時には車両に搭載されている4発中3発が発射されたと見られ、そのうち少なくとも1発が失敗であった(予定の軌道を飛翔しなかった)可能性があり、北朝鮮のメディアも「成功」とは伝えなかった。

この発射を視察していた金正恩(朝鮮労働党)委員長は、「今後はロケット砲の威力上最もはっきりした特徴となる連発試射だけを行えば良い」という評価を下し、多連装として連続発射可能な状態には未だ至っていないことをうかがわせていた。

この指示を体現するように、10月31日には同ロケット弾2発を3分という短間隔で発射してともにほぼ最大射程と見られる370kmまで飛翔させ、今回はさらにその間隔を30秒に短縮して連続発射し、2発とも380kmまで到達させた。8月と9月の際には発射間隔が20分近く空いていたことを考えると、この2回の連続発射は格段の進歩である。

この結果について、朝鮮中央通信や労働新聞は、「超大型放射砲の戦闘的な性能と実戦能力の完璧さが確証された」、「視察した金正恩委員長は結果について大満足を示した」などと、この試射が成功であったことを伝えた。

今回のように、北朝鮮が月1回のペースでミサイル等の発射に関する不具合を是正しつつ、着実に能力を向上させているというのは括目すべき事象であり、10月2日に水中発射台から(極めて高度な技術を必要とするコールド・ローンチシステムによる)SLBM発射試験を成功させた事象とも合わせて、北朝鮮の弾道ミサイルや大型ロケット等に関する技術力の高さを裏付けるものと見なければならない。今年に入って、これら短距離弾道ミサイルの開発に北朝鮮が心血を注いでいる理由については、9月13日の拙稿「北朝鮮が、短距離弾道ミサイル開発に舵をきった『恐るべき真意』」をご覧いただきたい。

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