――今回のテーマ「日本発のラグジュアリー」について「寅さん」は?

「ラグジュアリーじゃないですか。心のオアシスというか、ほっとする。時には笑わせてもらったり、ごもっとも、という意見もあって、その言葉に感動したり。

日本のいちばんのラグジュアリーは『人』だと思います。礼儀正しさとか、謙虚さとか。日本で暮らしていると無駄な謙虚さや礼儀正しさがあるように見えたりはするけれども、外国から来た人が見るともうびっくりするみたい。みんな優しい、正しい人間だって。震災のときも、コンビニエンス・ストアで棚から落ちてきたものを拾って店の人を手伝ってからレジに並ぶ。ありえない、うちの国では、と言うの、どうしてなの?って」

――それが日本人の美徳だとしたら反対に、少し「?」な点もあるという。

「40代の私が今、ティーンエイジャーに流行っている格好をしたら、やっぱり下品になるでしょう? これを60過ぎてる、70過ぎてる女性が一緒になってやれば何かカワイイとかカッコいいになるけれども。40代50代って、人を真似て生きてはいけない年代じゃないかな。

自分自身を確立して、年上の方から学んだこと、年下から学んだことを吸収して、自分自身で生きていかなければならない年齢なのかな。年下ぶるのもイタいし、年上ぶるのも足りない。今、その年相応のスタイルで行くべきなんじゃないかな」

――3人の子育ても、そろそろ終わり?

「まだまだ終わっていない、というか永久に終わらないことなんだ、と最近やっと気づきました。全く問題のない完璧な人生を歩んでいる人なんていなくて、必ず何かしらある。何かあったとき、身体的か精神的にか、そばにいてあげたいと思うし。喜びも大きいけれど大変なことも多い。自分ひとりの人生というのはもうずいぶん前に終わっていて、みんなの人生を私も一緒に歩んでいる、という感覚なので」

――『お帰り 寅さん』は、娘のエレナさんを連れて観た。

「隣で、騒がしかったというか(笑)。娘がわんわん泣いていて。母(夏木マリさん)と娘(後藤さん)の姿、嘆き悲しむ母……あんなに号泣していてもマリさんは美しいし。心を打たれたんじゃないでしょうか。

目いっぱい内容が詰め込まれていて、一度観ただけでは何とも言えません。ゆっくり観たいですね。自分で言うのも何ですが、(過去のシリーズ作品と)うまくつながっていて……私が、とても好きな作品です」