圧倒的に美しいひと。「ゴクミ」と呼ばれ始めた少女の頃から時を経て、この冬、美しい出演映画が公開される。今回、日本発ブランドのモノトーンで登場の彼女を世界のラグジュアリーを知る女性、と人は思う。ラグジュアリーを「心地よさ」「めったにない悦び」と定義するなら、彼女はどこの国にいようと、何をしようと、関わるひと、見るひとすべてに、その「生き方」でラグジュアリーを伝えてくれるから。

ジャンさんも、3人のこどもたちも、畳が好き、温泉が好き、日本が好き。現在、スイスのレマン湖のほとりに住む久美子さんは、「ママ友」たちとボートを漕ぐことも。「湖って美しいんだけど、湖から見た街も美しいんですよ」と、常に視点は自在。

人を真似て生きてはいけない年代

自分ひとりの人生というのは終わっていて今は、「みんなの人生」を一緒に歩んでいる

ニット¥76000/テイラーアンドクロース(オーカ・トランク) ☎03-6804-5249 ピアス¥677000、リング¥800000/ミキモト カスタマーズ・サービスセンター(ミキモト) ☎0120-868254 Photo by Kazuyoshi Shimomura(UM)

後藤久美子
1974年生まれ。東京都出身。現在はスイスのジュネーヴ在住。出演作映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」が、2019年12月27日に公開。あらゆる世代の女性が見て、心に染み入る、美しいシーンの連続となっている。日本映画を代表するシリーズの、さらにその「新作」の素晴らしさを、後藤さん出演によって、堪能したい。

――モノトーンのファッションを今回の企画でシックに着こなしてくれた後藤久美子さん。それとは対照的に、二十数年ぶりの映画出演となった『男はつらいよ お帰り 寅さん』では、日本人には難しい鮮やかなターコイズ・ブルーの衣装で印象的なシーンを見せている。

「山田洋次監督がおっしゃるには、私の役・泉のテーマカラーはブルーなんですって。20年以上経って、それ初めて知りました(笑)」
 

ーー“泉”とは渥美清さん扮する寅さんの甥っ子、満男の初恋の人。それこそ高校生時代から始まって、久美子さんの実年齢に呼応するかのように何度も登場した。大切な役、大切なシリーズだ。ゆえに共に40代になって再会した満男と泉のせつないラブストーリーが核となる本作、山田監督が久美子さんの出演に強くこだわったのも当然だろう。

「監督から心のこもったお手紙をいただいたのもあるけど、そもそも監督の頼みを断れる人なんていませんよ」

――実はこれには前段があった。山田監督の『東京家族』の撮影現場に「遊びにおいで」と誘われた久美子さん。見知った顔がそろう山田組の、静かな、それでいてピーンと張りつめた緊張感に「思わず涙が出てしまいました。ああこういう場に私もいたんだな、と」