今、演劇界で最も注目されている若手演劇人・根本宗子さんの舞台『今、出来る、精一杯。』に出演する坂井真紀さんが、根本さんと繰り広げる“大人の恋愛対談”。ほぼヒモ状態の男・安藤を優しくサポートし続ける“はな”を演じる坂井さんは、7年前に生み出された戯曲の成り立ちや、根本さんの作家特有の表現への執着心に興味津々。舞台では、登場人物全員が、“生きづらさ”を感じているが、生きることや人を愛することとの格闘の先に、見えてくるものは何なのか? 話はそれぞれの具体的な恋愛経験にも及び――。

人間の執着心は生命力につながる

坂井 ねもちゃんって、23歳のときにこの脚本を書いたんでしょう? あらすじだけみると、ヒモ男との恋愛をテーマにしていると思いきや、実は、人間が生きるとはどういうことかとか、男女がお互いをわかり合えないと悟った後に、そこからどう進んでいくかだったり……。台本を読めば読むほど書かれていることが深いって感じる。だから苦しい(笑)。

根本 初演の時に出ていた子に「再演するんだよ」って言ったら、「あのつらいのまたやるんですか」って(笑)。今回は音楽劇だし、再演とリメイクの中間なんですが、私がこの脚本を上演しようとするたびに、初演の人には「根本さんもつらいだろうけれど、出る役者全員つらいよ。見る側もつらいんだから」って心配されます(笑)。

坂井 最初に台本を読んだ時はすごくビックリしたんです。若い子の話なのに、どの年齢にも置き換えられる力があって、「わかるわかる」がすごく多かった。年をとると、恋愛に対して諦めることがどんどん増えてくるんですよ。「ここは、引いたほうがいいな」とか、そういう引きの美意識が生まれてくる。でもやっぱり人間の執着心って生命力につながると思うから、「どんなに反対されてもやっぱり好き」っていうはなの感情はすごく理解できました。ただ、結婚して子供もいる私は、ちょっと見守る感じで読んだところはあるのかも。それにしても、23歳であんな戯曲を書けるってすごい。

撮影/山本倫子