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# 経済 # 消費税

消費増税の「悲惨な影響」…政府の経済対策は本当に効くのか

デフレ脱却に最低限必要な条件

消費水準は簡単には戻らない

12月5日、政府は事業規模26兆円、財政支出13.2兆円となる経済対策を発表した。

今回の経済対策は、主に、成長分野への投資、自然災害対策を含むインフラ投資、景気の下振れリスクへの備えの3つの柱から構成される。そしてこれは、2019年度補正予算と2020年度当初予算に計上されることになる。政府はこの経済対策が、実質GDPを1.4%ポイント押し上げるという試算結果も公表している。

内閣府から発表された経済対策の概要「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」をみると、まるで「意識高い系」の社会人大学院生の課題レポートのような美辞麗句が並んでおり、失笑を禁じえない部分もあるが、消費増税後2ヵ月弱で経済政策による追加財政支出を決めた迅速さは評価できる。

安倍首相の、消費増税後の景気悪化に対する危機感は相当なものであろう。従来は、経済がかなり悪化してから慌てて策定するということが繰り返されてきたので、消費増税後の経済に対する警戒感とそれに対応しての行動の迅速さについては評価してよいのではなかろうか。

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現に消費増税の「負の影響」はそれなりに大きそうだ。

総務省が発表する家計調査報告では、10月の実質消費支出が季節調整済み前月比で▲5.1%の大幅減となった。この実質消費支出の減少幅は前回(2014年4月)の消費税率引き上げ時と比較すると小さいが、今回の減少によって、消費水準自体はほぼ前回の消費増税時まで下げてしまった。

 

前回の消費増税時を振り返ると、消費水準は大きく減少した。だが、これは、主にその直前の駆け込み需要増が大きかったからであり、反動減である限りは、3ヵ月程度で増税前の水準に戻るはずだというのが、圧倒的大多数の「専門家」の見方であった。

残念ながら、現実は、一度落ちた消費水準はなかなか戻らず、消費税率引き上げ前の水準に向けて回復を始めたのは、2019年に入ってからであった。

しかしながら、今回の消費増税によって、せっかく前回の消費増税前の水準まで回復しかけていた実質消費は再び前回の消費増税直後の水準まで低下してしまった。まさに「振り出しに戻る」である(図表1)。

さらにいえば、2019年からの実質消費支出の回復の理由は、それに先行して回復していた可処分所得の存在が大きかったと思われる。

だが、現在、この可処分所得も短期的な変動を均してみれば、回復が一服したようにみえる。したがって、今回も消費支出水準の低下が短期間で回復してくるとは想定しづらい状況である。

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